和製ミステリー

『ユリゴコロ』(☆3.6)  著者:沼田まほかる

亮介が実家で偶然見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。創作なのか、あるいは事実に基づく手記なのか。そして書いたのは誰なのか。謎のノートは亮介の人生を一変させる驚愕の事実を孕んでいた…

『神の値段』(☆3.4)  著者:一色さゆり

メディアはおろか関係者の前にも一切姿を見せない前衛芸術家・川田無名。 彼は、唯一つながりのあるギャラリー経営者の永井唯子経由で、作品を発表し続けている。 ある日唯子は、無名が1959年に描いたという作品を手の内から出してくる。 来歴などは完全に伏…

『恐怖小説 キリカ』(☆3.8) 著者:澤村伊智

ホラー小説の新人賞を獲得し、僕は出版に向けて準備をはじめた。隣には支えてくれる最愛の妻・キリカ。 順風満帆な日々が続くと思われたが、友人の一人が「作家とは人格破綻者である」「作家は不幸であるべき」と一方的な妄想を僕に押し付け、嫌がらせをはじ…

『森に眠る魚』(☆4.0)  著者:角田光代

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄み…

『暗黒女子』(☆3.6)  著者:秋吉理香子

聖母女子高等学院で、一番美しく一番カリスマ性のある女生徒が死んだ。今晩学校に集められたのは、彼女を殺したと噂される、同じ文学サークルの「容疑者」たち。彼女たちは一人ずつ、自分が推理した彼女の死の真相を発表することに。会は「告発」の場となり…

『リバース』(☆3.8)   著者:湊かなえ

深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒーだった。 ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。その後何度か店で会う…

『ケムール・ミステリー』(☆2.6)  著者:谺健二

ケムール人を生み出した孤高の天才作家、成田亨。彼に魅せられた男が建てた屋敷は、まさに怪物の異形で覆われていた。そこで起こる連続密室死。自殺にしか見えないのだったが… しかしその「ほころび」から浮かび上がってきた全体像は誰もが予想しえなかった…

『22年目の告白-私が殺人犯です』(☆3.0) 著者:浜口倫太郎

編集者・川北未南子の前に突如現れた美青年・曾根崎雅人。 彼から預かった原稿は、時効となった連続殺人事件の犯行を告白したものだった。その残忍な犯行記録『私が殺人犯です』はたちまちベストセラーとなり、曾根崎は熱狂を煽るかのように世間を挑発し続け…

『罪の声』(☆4.0)  著者:塩田武士

逃げ続けることが、人生だった。 家族に時効はない。今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。 「これは、自分の声だ」 京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。ノー…

『静かな炎天』(☆4.0)  著者:若竹七海

ひき逃げで息子に重傷を負わせた男の素行調査。疎遠になっている従妹の消息。依頼が順調に解決する真夏の日。晶はある疑問を抱く(「静かな炎天」)。イブのイベントの目玉である初版サイン本を入手するため、翻弄される晶の過酷な一日(「聖夜プラス1」)。タフ…

『さよならの手口』(☆4.7) 著者:若竹七海

探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優の芦原吹雪から、二十年前に家出した娘の安否についての調査を依頼される。かつて娘の行方を捜した探偵は失踪していた―。有能だが不…

『だれもがポオを愛していた』(☆4.0)  著者:平石貴樹

諸君はアッシャー家の崩壊を見いだすだろう―予告の電話は真実を告げていた。 錦秋のボルティモア郊外で、日系人兄妹の住む館が爆発し傍の沼に崩れ去った。妹は謎めいた言葉をのこして息絶え、兄の遺体もまた水中深くに。 ほどなく、棺に横たわった美女の歯が…

『終着駅殺人事件』(☆3.2)  著者:西村京太郎

青森県F高校の男女七人の同窓生は、上野発の寝台特急「ゆうづる7号」で、卒業後七年ぶりに郷里に向かおうとしていた。しかし、上野駅構内で第一の殺人。その後、次々に仲間が殺されていく―。 上野駅で偶然、事件に遭遇した亀井刑事は、十津川警部とともに捜…

『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』(☆4.2) 著者:井上真偽

聖女伝説が伝わる地方で結婚式中に発生した、毒殺事件。 それは、同じ盃を回し飲みした八人のうち三人(+犬)だけが殺害されるという不可解なものだった。参列した中国人美女のフーリンと、才気煥発な少年探偵・八ツ星は事件の捜査に乗り出す。 青髪の探偵・上…

『がん消滅の罠 完全寛解の謎』(☆4.5)  著者:岩木一麻

日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、生命保険会社に勤務する森川から、不正受給の可能性があると指摘を受けた。夏目から余命半年の宣告を受けた肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金3千万円を受け取った後も生存しており、それどころか、…

『毒殺魔』(☆4.9)  著者:若一 光司

『砂の器』『飢餓海峡』に匹敵、そして『虚無への供物』へ通じる平成の社会派ミステリの一大傑作、登場! 仕事中に大骨折した日読テレビのディレクター広川英樹は、リハビリの苦しさと恋人を失った寂しさから一人暮らしの自宅に風俗嬢リョウを呼んだ。単なる…

『沈黙法廷』(☆3.5)  著者:佐々木譲

東京・赤羽。絞殺死体で発見されたひとり暮らしの初老男性。親譲りの不動産を所有する被害者の周辺には、多くの捜査対象が存在する。地道な鑑取り捜査の過程で、家事代行業の女性が浮上した。しかし彼女の自宅に赴いた赤羽署の捜査員の前に、埼玉県警の警察…

『その可能性はすでに考えた』(☆3.7)  著者:井上真偽

かつて、カルト宗教団体が首を斬り落とす集団自殺を行った。その十数年後、唯一の生き残りの少女は事件の謎を解くために、青髪の探偵・上笠丞と相棒のフーリンのもとを訪れる。 彼女の中に眠る、不可思議な記憶。それは、ともに暮らした少年が首を斬り落とさ…

『倒叙の四季 破られたトリック』(☆3.0) 著者:深水黎一郎

懲戒免職処分になった元警視庁の敏腕刑事が作成した“完全犯罪完全指南”という裏ファイルを入手し、完全犯罪を目論む4人の殺人者。 「春は縊殺」「夏は溺殺」「秋は刺殺」「冬は氷密室で中毒殺」。 心証は真っ黒でも物証さえ掴ませなければ逃げ切れる、と考え…

『パイルドライバー』(☆2.8)  著者:長崎尚志

神奈川県の閑静な住宅街で起きた一家惨殺事件。奇しくも、15年前に同様の未解決事件があり、その時と同じく遺体にはピエロの化粧が施されていた。これは模倣犯によるものなのか?退職を考えている刑事・中戸川俊介が現場に向かうと、そこに長身痩躯の初老の男…

『悪いうさぎ』(☆4.4) 著者:若竹七海

女探偵・葉村晶(あきら)は、家出中の女子高校生ミチルを連れ戻す仕事を請け負う。妨害にあい、おまけに刺されてひと月の安静をやむなく過ごした矢先、今度はミチルの友人・美和を探すことに。 やがて見えてくる高校生たちの危うい生態──親への猛烈な不信、…

『松谷警部と三鷹の石』(☆3.6)  著者:平石貴樹

ある事件をきっかけにして本庁に引き抜いた白石巡査の直感を、松谷警部は信頼している。当初は白石の推理力を動員するまでもないと思われた三鷹の事件だが、諸事情が判明するにつれて複雑な様相を見せはじめた。ケーキは消え、足跡は一つだけ。厭な予感が松…

『このミステリーがひどい』(☆大爆発)  著者:小谷野敦

40年以上に及ぶ推理小説渉猟の結論! その作品は本当にすごいか? 世評の高い「話題作」「人気作」は90%がクズ、ひと握りの名作を求めつづけた濫読人生。 世の『ミステリー帝国主義』に抗して、推理小説嫌いの著者が唱える“ひどミス”論。 Amazonより 喜…

『許されようとは思いません』(☆4.0)  著者:芦沢央

あなたは絶対にこの「結末」を予測できない! 新時代到来を告げる、驚愕の暗黒ミステリ。 かつて祖母が暮らしていた村を訪ねた「私」。祖母は、同居していた曾祖父を惨殺して村から追放されたのだ。彼女は何故、余命わずかだったはずの曾祖父を、あえて手にか…

『弔い花 長い腕Ⅲ』(☆2.8)  著者:川崎草志

早瀬の旧家、東屋敷の一人娘が殺害された。敬次郎の呪いの罠を疑う当主は汐路に調査を依頼する。そんな中、町の歴史の暗部と呪いの因果を暴露した本が出版され、ネットを中心に早瀬をバッシングする風潮が広がっていく。正義の名の下に暴走する人々の悪意。…

『ジェリーフィッシュは凍らない』(☆4.0) 著者:市川憂人

特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。 ところが航行試験中に、閉鎖状況…

『依頼人は死んだ』(☆4.0)  著者:若竹七海

念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持つこまれる様々な事件の真相は、 少し切なく、少しこわい。構成の妙、…

『プレゼント』(☆3.8)  著者:若竹七海

ルーム・クリーナー、電話相談、興信所。トラブルメイカーのフリーター・葉村晶と娘に借りたピンクの子供用自転車で現場に駆けつける小林警部補。二人が巻き込まれたハードボイルドで悲しい八つの事件とは。 間抜けだが悪気のない隣人たちがひき起こす騒動は…

『BACK 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』(☆2.7) 著者:内藤了

12月25日未明、都心の病院で大量殺人が発生との報が入った。死傷者多数で院内は停電。現場に急行した比奈子らは生々しい殺戮現場に息を呑む。そこは特殊な受刑者を入院させるための特別病棟があり、狙われたのはまさにその階のようだった。相応のセキュリテ…

『呪い唄 ~長い腕Ⅱ~』(☆3.4)  著者:川崎草志

汐路のいとこ兄妹が命を落としてから数ヶ月、町を呪った近江敬次郎の復讐はまだ終わっていない―。そう考え、町にとどまった汐路は、一人の老人に引き合わされる。戦時中、近くに駐屯していたという元軍人で、終戦直後に姿を消した部下の行方を捜している、と…