『弔い花 長い腕Ⅲ』(☆2.8)  著者:川崎草志

イメージ 1

 早瀬の旧家、東屋敷の一人娘が殺害された。敬次郎の呪いの罠を疑う当主は汐路に調査を依頼する。そんな中、町の歴史の暗部と呪いの因果を暴露した本が出版され、ネットを中心に早瀬をバッシングする風潮が広がっていく。正義の名の下に暴走する人々の悪意。これも時を超え張り巡らされた呪いの連鎖なのか?事件の陰に潜む元上司石丸の思惑とは?
 絡み合うすべての謎が鮮やかに解き明かされる、怒涛の書き下ろし完結編!

Amazonより

 「長い腕」シリーズも第3弾にてついに完結編。一作目こそミステリとしての形式が濃厚だったけど、2作目・3作目と段々民族ホラーのような形式になってきました。

 シリーズを通して現代の事件と過去の因縁が並行して描かれるスタイルは蛙。過去の事件の描写が現代の事件の伏線になっているので、平行して描かれることによって、現代の事件の真相が少しずつ読み手にも分かってくる。ヒントの提供の仕方として非常にわかりやすい。あまりにわかりやすい分ミステリとしての密度は薄い感じですが、読み物としては構成もしっかりしているし、よく計算されてると思う。

 けれど、その分ミステリとしても、民俗ホラーとしてもどっちつかずになってるかな。現代の事件の展開は今の時代にいかにもおきそうな設定。事件の真相については少し俗悪すぎて、ホラー的様子が少し弱かった。じゃあホラー系としてどうかというと、どうしても一作目のインパクとが強すぎて、3作目になると敬次郎のキャラと呪いの結びつき方が弱く感じるなと。恨みの場面もここまで強調して繰り返されると、という気もします。

 シリーズ通しての伏線は回収できているような、そうでないような。とりあえずは早瀬という街のインパクトはかなり強烈なので、いっそのこと、超常ホラー系に突き抜けちゃた方がもっと面白かったんじゃないかな、このシリーズ・・・。



採点  ☆2.8