海外小説

『元年春之祭』(☆3.5) 著者:陸 秋槎

2000年以上前、前漢時代の中国。かつて国の祭祀を担った名家、観(かん)一族は、春の祭儀を準備していた。その折、当主の妹が何者かに殺されてしまう。しかも現場に通じる道には人の目があったというのに、その犯人はどこかに消えてしまったのだ。古礼の見聞…

『乗客ナンバー23の消失』(☆4.4) 著者:セバスチャン・フィツェック

乗客の失踪が相次ぐ大西洋横断客船“海のスルタン”号。消えた妻子の行方を追うべく乗船した敏腕捜査官の前に現れる謎、謎、謎。錯綜する謎を解かないかぎり、ニューヨーク到着まで逃げ場はない。無数の謎をちりばめて、ドイツ屈指のベストセラー作家が驀進さ…

『幻の女』(☆4.6) 著者:ウイリアム・アイリッシュ

妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった!…

『悪女』(☆3.5) 著者:マルク・パストル

20世紀初頭のバルセロナ。町では幼い子供が何人も失踪していた。噂ではその血をすすり臓物を喰らう化け物に攫われたのだという。そして今日また一人、新たな子供が姿を消し、頸動脈を噛みちぎられた男の死体まで発見された。その化け物の名はエンリケタ。「…

『動く標的』(☆3.5) 著者:ロス・マクドナルド

石油王が失踪した。失踪か? 誘拐か? 夫人の依頼により調査を開始した私立探偵リュー・アーチャー。夫人とは犬猿の仲である義理の娘、彼女が愛する一家専属のバイロット、娘との結婚を望む弁護士といった面々が複雑に絡み合うなか、次々に殺人事件が……。クー…

『ギデオン・マック牧師の奇妙な生涯』(☆4.0) 著者:ジェームズ・ロバートソン

スコットランドの出版社に、半年前に失踪したギデオン・マック牧師の手記が持ち込まれた。彼は実直な人間として知られていたが、失踪する直前に神を信じないまま牧師になったことや悪魔と親し気に語らったことを告白し、信徒や国教会から非難されていた。手…

『タラント氏の事件簿(完全版)』(☆3.4) 著者:C・デイリー・キング

博物館から消えた古書、ペントハウスの密室殺人、古の詩どおりに現われては消える竪琴……いずれ劣らぬ怪事件に理知の光を当て真相をあばくのは、日本人執事を従えた謎の紳士タラント氏である。巨匠クイーンが「黄金時代におけるもっとも想像力に富んだ短編集…

『13・67』(☆4.0) 著者:陳浩基

華文(中国語)ミステリーの到達点を示す記念碑的傑作が、ついに日本上陸! 現在(2013年)から1967年へ、1人の名刑事の警察人生を遡りながら、香港社会の変化(アイデンティティ、生活・風景、警察=権力)をたどる逆年代記(リバース・クロノロジー)形式の本格ミス…

『蝶のいた庭』(☆4.0) 著者;ドット・ハチソン

FBI特別捜査官のヴィクターは、若い女性の事情聴取に取りかかった。彼女はある男に拉致軟禁された10名以上の女性とともに警察に保護された。彼女の口から、蝶が飛びかう楽園のような温室〈ガーデン〉と、犯人の〈庭師〉に支配されていく女性たちの様子が語ら…

『矢の家』(☆3.2) 著者:A・E・W・メースン

矢の家 資産家のハーロウ夫人がなくなり、遺産は養女のベティが継ぐことになった。そこへ夫人の義弟を名乗る怪人物が登場。恐喝に失敗するや、夫人はベティが毒殺したのだと警察へ告発する。ベティはハーロウ家の顧問弁護士に救いを求め、いっぽうパリからは…

『オリエント急行殺人事件』(☆5.0) 著者:アガサ・クリスティ

数日がかりでヨーロッパを走り抜ける豪華寝台列車、オリエント急行。さまざまな国の客が乗り合わせたその日の列車は、雪の中で立ち往生してしまう。しかも車内で殺人事件まで起こった。殺されたのは、金持ちのアメリカ人男性。 たまたまこの列車に乗っていた…

『月の夜は暗く』(☆3.0) 著者:アンドレアス・グローバー

「母さんが誘拐された」 ミュンヘン市警の捜査官ザビーネは、父から知 らせを受ける。母親は見つかった。大聖堂で、パイプオルガンの脚にくくりつけられて。遺体の脇にはインクの缶。口にはホース、その先には漏斗が。処刑か、なにかの見立てか。 ザビーネは…

『月明かりの男』(☆3.2)  著者:ヘレン・マクロイ

私用で大学を訪れたフォイル次長警視正は“殺人計画”の書かれた紙を拾う。決行は今夜八時。直後に拳銃の紛失騒ぎが起きたことに不安を覚え、夜に再び大学を訪れると、亡命化学者の教授が死体で発見された。現場から逃げた人物に関する目撃者三名の証言は、容…

『アクロイド殺し』(☆4.5)  著者:アガサ・クリスティ

深夜の電話に駆けつけたシェパード医師が見たのは、村の名士アクロイド氏の変わり果てた姿。容疑者である氏の甥が行方をくらませ、事件は早くも迷宮入りの様相を呈し始めた。 だが、村に越してきた変人が名探偵ポアロと判明し、局面は新たな展開を… 驚愕の真…

『ゴルフ場殺人事件』(☆3.7)  著者:アガサ・クリスティ

南米の富豪ルノーが滞在中のフランスで無惨に刺殺された。事件発生前にルノーからの手紙を受け取っていながら悲劇を防げなかったポアロは、プライドをかけて真相解明に挑む。 一方パリ警視庁からは名刑事ジローが乗り込んできた。たがいを意識し推理の火花を…

『スタイルズ荘の怪事件』(☆3.8)  著者;アガサ・クリスティ

旧友の招きでスタイルズ荘を訪れたヘイスティングズは、到着早早事件に巻き込まれた。屋敷の女主人が毒殺されたのだ。難事件調査に乗り出したのは、ヘイスティングズの親友で、ベルギーから亡命して間もない、エルキュール・ポアロだった。 不朽の名探偵の出…

『刺青の殺人者』(☆3.6)  著者:アンドレアス・グルーバー

全身の骨が折られ、血が抜かれた若い女性の遺体が、ライプツィヒの貯水池で見つかった。娘の遺体の確認にベルリンからやってきた母ミカエラは、自分一人でも娘が殺された理由をつきとめ、姉と一緒に家出したまま行方不明のもうひとりの娘を捜し出そうと堅く…

『夏を殺す少女』(☆3.9)  著者:アンドレアス・グルーバー

酔った元小児科医がマンホールで溺死。市会議員が運転をあやまり事故死。一見無関係な出来事に潜むただならぬ気配に、弁護士エヴェリーンは深入りしていく。一方ライプツィヒ警察の刑事ヴァルターは、病院での少女の不審死を調べていた。 オーストリアの弁護…

『ブラウン神父の知恵』(☆3.5)  著者:G・K・チェスタートン

逆説の論理の魔術師チェスタトンを代表する名シリーズの第二集。 トリックの凄みでは、名作揃いの巨匠チェスタトン作品のなかでもトップクラスに位置する「通路の人影」、仮装舞踏会を舞台に神父の心理試験反対論を織りまぜた「機械のあやまち」など、いずれ…

『あなたは誰』(☆3.3)  著者:ヘレン・マクロイ

「ウィロウ・スプリングには行くな」 匿名の電話の警告を無視して、フリーダは婚約者の実家へ向かったが、到着早々、何者かが彼女の部屋を荒らす事件が起きる。不穏な空気の中、隣人の上院議員邸で開かれたパーティーでついに殺人事件が…。 検事局顧問の精神…

『ささやく真実』(☆4.2)  著者:ヘレン・マクロイ

奇抜な言動と悪趣味ないたずらで、周囲に騒動をもたらす美女クローディア。彼女が知人の研究室から持ち出した新薬には、強力な自白作用があった。クローディアはその薬を自宅のパーティーで飲みものに混ぜ、宴を悲惨な暴露大会に変容させてしまう。その報い…

『曲った蝶番』(☆4.0) 著者:ジョン・ディクスン・カー

1年前、25年ぶりにアメリカから帰国し、爵位と地所を継いだジョン・ファーンリー卿は偽者であり、自分こそが正当な相続人であると主張する男が現れた。渡米の際にタイタニック号の船上で入れ替わったのだと言う。あの沈没の夜に―。 やがて、決定的な証拠によ…

『殺す人形』(☆3.4)  著者:ルース・レンデル

まずはあらすじ。 家族の絆に亀裂を入れたあの女が憎い・・・・・・顔に醜いあざがあるためドリーは人づきあい を嫌い、母亡き後、父と弟の世話に喜びを見出してきた。が、父親が再婚し、すべてが変わってしまった。継母に罰を与えるため、彼女は弟と共に魔…

『黒死荘の殺人』(☆3.0) 著者:カーター・ディクスン

まずはあらすじ。 曰く付きの屋敷で夜を明かすことにした私が蝋燭の灯りで古の手紙を読み不気味な雰囲気に浸っていた時、突如鳴り響いた鐘―それが事件の幕開けだった。 鎖された石室で惨たらしく命を散らした謎多き男。誰が如何にして手を下したのか。幽明の…

『ロウフィールド館の惨劇』(☆4.5)  著者:ルース・レンデル

まずはあらすじ。 ユーニス・パーチマンがカヴァデイル家の一家四人を惨殺したのは、たしかに彼女が文字が読めなかったからである。だがそれだけではない事情もあった。 ユーニスは有能この上ない召使だった。家事万端完璧にこなし、広壮なロウフィールド館…

『四つのサイン』(⭐3.0) 著者:コナン=ドイル

まずはあらすじ。 ある日、ベーカー街を訪れた若く美しい婦人。父がインドの連隊から帰国したまま消息を断って十年になるが、この数年、きまった日に高価な真珠が送られてくるという……。ホームズ達が真珠の所有者を捜し当てた時、無限の富をもつこの男は殺さ…

『緋色の習作」(⭐3.6)  著者:コナン=ドイル

まずはあらすじ。 空家で殺されていた謎の死体。その壁に血で書かれた〈復讐〉の文字。この事件こそは、イギリスの軍医としてインドで従軍し、負傷して帰国したワトスン医師が、名探偵の名も高いホームズと出会い、初めて手がけた、忘れがたい最初の事件であ…

『赤い橋の殺人』(☆2.6) 著者:シャルル・バルバラ

まずはあらすじ。 19世紀中葉のパリ。急に金回りがよくなり、かつての貧しい生活から一転して、社交界の中心人物になったクレマン。無神論者としての信条を捨てたかのように、著名人との交友を楽しんでいた。だが、ある過去の殺人の真相が自宅のサロンで語…

『皇帝のかぎ煙草入れ』(☆4.6)  著者:ジョン・ディクスン・カー

まずはあらすじ。 前夫ネッド・アトウッドと離婚したイヴ・ニールは、その後向かいの家に住むトビー・ローズと婚約するが、ある夜、ネッドがイヴの家の寝室に忍びこみ復縁を迫る。ネッドに部屋から出て行くよう訴えている最中、イヴは向かいの家で殺害された…

『死者の書』(☆4.9) 著者:ジョナサン・キャロル(浅羽莢子/訳)

http://img.7andy.jp/bks/images/i7/05443477.jpg ●恩田陸氏推薦―― 「静かに沁みてくる不気味な美しさ。出口のないキャロル・ワールドはここから始まる。」 ぼくの目の前で少年がトラックにはねられた。事故のあと町の人間が聞いてきた。 「あの男の子、はね…