たいりょうのちょっと一息

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『凶鳥(まがとり)の如き忌むもの』(☆3.7) 著者:三津田信三

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怪異譚を求め日本中をたずねる小説家・刀城言耶は瀬戸内にある鳥坏島の秘儀を取材しに行く。島の断崖絶壁の上に造られた拝殿で執り行われる "鳥人の儀"とは何か?儀礼中に消える巫女!大鳥様の奇跡か?はたまた鳥女と呼ばれる化け物の仕業なのか?本格ミステリーと民俗ホラーを融合させた高密度推理小説。

yahoo紹介より

 

『厭魅(まじもの)の如き憑くもの』に続くシリーズ第2弾。
帯に「空前絶後の“人間消失”にミステリー界騒然!!」とありました。
本当に騒然としてたかどうかは別にして、空前絶後という言葉はまさに。このトリックは文句なしにBミスでしょ(笑)。

 

それにしてもここまで物語の毛色が二転三転する物語というのもなかなかユニーク。
前半は、戦後の日本、瀬戸内海の孤島、地元に伝わる大鳥様の伝承、妖しげな儀式、消える人々、密室。。。
もう懐かしの横溝正史を彷彿。怪異譚も民話的伝承部分も前作よりコンパクトにまとまってますし、サクサク読み進む。

 

かといって怖くないわけでもない。
前作でもあった、「一人でいるのは間違いないのに後ろに人の気配を感じて振り向けない」系の怖さは健在。
儀礼の最中、見張り役の二人の会話に挿入される巫女の安否を知らせる鈴の音。
そして突然それが狂ったように鳴り響く。ひい~~~~~~~~~~~~~~~。
ここは怖かった、前作よりも怖かった。ベットで読みながら振り向けなかったですから。

 

そう、ここまでは非常に面白かった。
しかしながらこの後繰り広げらる巫女消失に関する密室トリックの検証大会がどうにも辛かったのです。
こういったミステリのお約束場面、ミステリ読みの端くれとして決して嫌いではないにも関わらず、どうにもこうにも退屈。
前提の羅列っぷりがやや不親切だというのもありますが、最大の原因は密室となった拝殿の構造のイメージが全然わかなかったこと。
儀礼の前に刀城達が拝殿を回るわけですが、まあかなり異色の建物というのは伝わるものの床とそれを取り囲む壁(塀)の関係やそこから望む断崖の位置関係がイマイチよく分からないから、刀城達が繰り広げる密室談義の半分ぐらいはその可能性の是非の検討がつかない。
見取り図とは言わないまでも、イラストかなんかつけてくれるとありがたかったな~なんて思ったり。

 

怪異、本格ときて最後はBミス。
もうあの密室消失トリックは唖然の一言。
実現可能かどうかと問われたならば、ぜひとも無理に一票。
ただしこの作品の雰囲気にあってる気がするし、発想の凄さは評価できる(気もする)。
そもそもこのトリックとかが駄目だったら「モルグ街」や「まだらの紐」だってねえ。。。(笑)
結局たとえそのトリックがBミス寄りだったとしても作品の持ち味のなかでちゃんと存在しているのであればいいと思う。
まあ、ふざけんな!!と怒る人がいてもしゃ~ないとは思いますけど^^;;
それさえ乗り切りれればまあ、面白い小説といえるのではないでしょうか。

 

さてさて最後のどうしても残った疑問を。

    ネタバレなので改行させますね。























①人籠を使った消失、刀城が歩いてる被害者を見つけてから消失を確認するまでの時間があまりにも短い。このタイムラグでは消失方法、脱出方法、ともに実行するには不可能なのでは?

 

②18年前の事件で、なぜ赤黒こと鸛(こうのとり)が殺されなかったのかという理由がよく分からない。

 

この2点がどうしても引っかかります。②に関しては読み落としてるかもしれませんが。。。
さてさてどう思われますか?

 

採点   3.7

(2007.1.31 ブログ再録)