2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『アトミック・ボックス』(☆3.8)  著者;池澤夏樹

人生でひとつ間違いをしたという言葉を遺し、父は死んだ。 直後、美汐の前に現れた郵便局員は、警視庁を名乗った。30年にわたる監視。父はかつて、国産原子爆弾製造に携わったのだ。国益を損なう機密資料を託された美汐は、父親殺人の容疑で指名手配されてし…

映画『22年目の告白〜私が殺人犯です〜』 監督:入江悠

あらすじ 藤原竜也と伊藤英明がダブル主演し、2012年の韓国映画「殺人の告白」を原作に描くクライムサスペンス。「ジョーカー・ゲーム」「SR サイタマノラッパー」の入江悠監督がメガホンをとり、22年前の連続殺人事件の犯人を名乗る男の「告白」が新たな事…

『失われた地図』(☆3.6)  著者:恩田陸

直木賞受賞第一作! “恩田ワールド”全開のエンターテインメント長編 錦糸町、川崎、上野、大阪、呉、六本木・・・・・・。 日本各地の旧軍都に発生すると言われる「裂け目」。 かつてそこに生きた人々の記憶が形を成し、現代に蘇る。 鮎観の一族は代々、この…

『随筆古文書紀行 まぼろしの厳嶋大仏』(☆3.0)  著者:山田道信

『厳嶋道芝記』など古文書に記されていたにもかかわらず、宮島「大仏原」から消えた丈六仏〈厳嶋大仏〉の行方を求め、秘められた謎の歴史を繙く。その仏は海を渡った――。 「台座や光背はなく、像の所々に金箔が残っている。膝から下の部分の損傷が特に激しく…

『あひる』(☆4.0)  著者:今村夏子

読み始めると心がざわつく。 何気ない日常の、ふわりとした安堵感にふとさしこむ影。 淡々と描かれる暮らしのなか、綻びや継ぎ目が露わになる。 あひるを飼うことになった家族と学校帰りに集まってくる子供たち。一瞬幸せな日常の危うさが描かれた「あひる」…

『刺青の殺人者』(☆3.6)  著者:アンドレアス・グルーバー

全身の骨が折られ、血が抜かれた若い女性の遺体が、ライプツィヒの貯水池で見つかった。娘の遺体の確認にベルリンからやってきた母ミカエラは、自分一人でも娘が殺された理由をつきとめ、姉と一緒に家出したまま行方不明のもうひとりの娘を捜し出そうと堅く…

『魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く』 著者:奥野修司

あの未曾有の大震災から、今年で6年――。 その被災地で、死者を身近に感じる奇譚が語られているという。 最愛の家族や愛しい人を大津波でうしない、悲哀の中で生きる人びとの日常に、 突然起きた不思議な体験の数々……。 《愛する亡夫との〝再会″で、遺された…