『島崎警部のアリバイ事件簿 ~天城一傑作集〈2〉~』(☆3.0) 著者:天城一

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不可能興味満載で本格推理ファンに挑む!2005年度『このミス』3位に輝いた"幻の探偵作家"待望の第2弾。

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幻の探偵作家、天城一の作品集第2弾。

 

第1弾の『天城一の密室犯罪学教程』がかなり難解な代物だったので、この第2弾を読むかどうか非常に悩みました。
しかし、先日の川柳大賞で「怒鳴るど賞」に選ばさせて頂いた「読むべきか?読まざるべきか?ならば読め!」のお言葉を胸に挑戦してみました。

 

正直にいいますと、「密室~」より数段読みやすい作品集になっているのではないかと。
前作が小説のしての贅肉を削りに削った為、読み物としての面白さすら削ったようなところがありましたが、こちらに収録されている作品は、小説的な薫りも十分残してると思います。

 

第1部「ダイヤグラム犯罪編」は、鮎川哲也氏の鉄道物が批判を受けた事に対する擁護として執筆を決めたという通り、ある意味純粋にアリバイトリックそのものを抜き出して磨きを掛けていると思います。
正直、鉄道トリックは個人的に全然OKなんですけれども、一般的な本格好きの方にはやや敬遠されてるきらいがあります。その一つの要因として、鉄道トリックのパターン化によりマンネリ化というのがあるかと思われます。
この作品集に収録されている作品も一部分においてはその批判を受けてしまいかねないと思いますが、それでも徹底的に磨きをかけたものの美しさをかいま見ることが出来るのではないでしょうか。
とはいっても、時刻表嫌いの方が読んでも面白い!!と思えるかどうかは、はっきり言って自身がございませんが^^;

 

第2部「不可能犯罪編」は「ダイヤグラム」以外の島崎物。
わりとオーソドックスな本格ネタを扱っており、純粋に短編集として楽しめる作品もいくつかあると思います。
この作品集に収録されてるものは、贅肉はギリギリまで無くした前作の傾向に、きちんと味付けをしているといった感じでしょうか。
とはいってもその味付けは最小限に抑えられているので、ミステリの一番の楽しみはトリック!!という方には意外とおすすめかもしれません。

 

とはいっても、やはり僕にはちとこの文章のスタイルは合わないかな~と改めて思いました^^;




採点   3.0

(2006.7.29 ブログ再録)