たいりょうのちょっと一息

yahooブログから引っ越し中

『二廢人』・『双生児』・『D坂の殺人事件』 著者:江戸川乱歩

https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51VgSpCosyL._AC_US400_FMwebp_QL65_.jpg


『二廢人』
 初期の乱歩によく登場する、夢遊病者の犯罪事件を扱った殺人事件です。 雰囲気はそれなりにあるんですよね~、短いなりに。主人公の心理状態なんかもよくわかりますし。 ただ、作者の仕掛けたトリックというのがもろに読めちゃうのが・・・。
 初期の乱歩は裏返しのトリックなるものを意識してたようですが、ここまで露骨にわかりやすいと、ちょっと。 古き時代の作品なんですかね、やっぱり。


『双生児』(ネタバレ有り)
 これは昔、本木雅弘主演の怪映画もありましたが。 顔形や体つきまで、ことごとく似ている兄弟の間で起こる殺人なんですが、冒頭でだいたいのネタはわかります。 乱歩自身が語ってるように、トリック的なものよりも犯罪に至るまでの心理状態を楽しむのが正解なんでしょうね。 実の兄を殺して兄になりすまし生活をするという、屈折した心理状態もわかりますしね。
 また、とあるところから発見した兄の指紋を利用して完全犯罪をたくらむあたりも面白い・・・。 でも、最後に捕まってしまう過程がちょっと・・・。 どんでん返しの部分が小説的な面白さを減らしてしまったような気がしますね。

 

『D坂の殺人事件』(ネタバレ有り)
 乱歩初期の傑作と言われる中の一つで、近年真田広之主演で乱歩ファンにはたまらない(?)変態映画もありましたね。 まあ映画版はこの作品と心理試験を混ぜ合わせたものなので、純粋な映画化というものではなかったですけど。 乱歩はこの作品では和風建築でも密室殺人は書けるんだという例を示そうと試みたらしいですが、まあそのトリック自体は横溝の「本陣殺人事件」と比べても、数段落ちてしまうのかなと・・・。
 この作品で明智小五郎が初登場、まだ金田一耕助風味の残る外見ですが、彼の推理もとってつけたようなというか、明智の友人が語る推理の方が印象に残ってました。 それよりも、この作品あたりから如実に表れ始める乱歩の異常心理に対する趣向の方が面白いですね。
 犯人も被害者も合意の上で起きた、事故のような殺人ですが、これって絶対現実の世界でも起きてるんじゃないなか~。

 

(2006.1.27 ブログ再録)