『僕の好きな横溝正史』BEST10(前半)

(2006.9.28 ブログ再録)

 
最近はいろいろと記事を書いているので月間ベスト以外は滞りがちなこの書庫。
ということで久しぶりに更新して見ます。
テーマは「僕の好きな横溝正史BEST10」。

 

横溝正史といえば、江戸川乱歩と並んで推理小説の源流ともいうべき作家であり、現在に至るまで多くの影響を与えてきた作家さんですよね。
また彼が生み出した名探偵金田一耕助は、テレビ・映画だけにとどまらずはてはCMにまで登場するお茶の間の人気ものとなりました。
近年では稲垣吾郎金田一のおかげで若い人の知名度もすこしは上がったのかな?
また市川監督が「犬神家の一族」をセルフリメイク、金田一を演じるのは石坂浩二
黄金コンビの復活を今さらながら祝うということでスタート。
今まではBEST5だったのですが、横溝作品は好きな作品が多すぎるので今回は10本にしました^^;;

 

第10位

 

 

金田一耕助最後の事件とも知られるこの作品。
事件解決までに金田一が要した時間は20年、もちろんこれも最長です。解決した頃には等々力警部も引退して探偵社を開いているんですよね。
作品の出来としては有名な作品群には遠く及ばない気はするのですが、それでも時代の移り変わりという意味でファンにとっては感慨深い作品である事には違いありません。まあ出版順でいえば「悪霊島」の方がこの作品よりあとに発表されているというのはご愛嬌でしょうか。
ちなみに原作と映画版では犯人が違います。個人的には映画版の犯人の方がしっくりきてはいたのですが^^;;

 

第9位

 

『悪魔の降誕祭』

 

作品としては割とマイナーなのでしょうか、長さとしては中篇程度ですね。収録作的にも「女怪」の方が有名なのかな?
なぜこの作品なのかというと、犯人像が非常に印象に残っているからなのです。
これ以上というとネタバレになるのでかけませんが、割と分かりやすい犯人なのに実際判明すると衝撃を受けたんですよね~。
系統としては「仮面舞踏会」の犯人像と同列なような気がしますが、シンプルな分こちらの方を挙げさせて頂きます。

 

第8位

 

『夜歩く』

 

金田一物としてはわりと後の方に読んだ作品です。どうタイトルではカーの作品の方が有名でしょうがこちらも中々です。
金田一シリーズには珍しく、記述者の視点で描かれる物語。
夢遊病といういかにも好みそうな設定と首無し死体を巡るロジックの組み立ても鮮やかな作品。わりと正統派の推理小説といえるかもしれません。
またラストの逆転劇もなかなか鮮やかだったよう記憶しております。
関係ないですが、昔この小説のノベルズサイズの本を持っていたのですが見つかりません。あれはどこの出版社の作品だったのでしょうか。。。

 

第7位

 

『蝶々殺人事件』

 

この作品は金田一物のではありません。探偵役は由利先生が務めます。
1946~47年に「ロック」にて連載された作品ですが、同時期には「宝石」においてあの「本陣殺人事件」が連載されています。
「本陣~」が金田一耕助登場作品にしてのちの横溝作品の原型ともいえる雰囲気を持っていたのに対し、こちらは都会派というべきか、クロフツの「樽」のようなアリバイ物になっています。ただコントラバスのケースに詰め込まれた女性の死体という、らしい雰囲気も持っていますね。
同時期にこれだけ毛色の違う作品を書き上げた氏にはやはり感服ですね♪

 

第6位

 

 

横溝の中でも人気の高い作品ですね。
序盤はいかにも横溝といった旧家を巡る連続殺人や怪しい双子の婆さん、そして落ち武者伝説に彩られ、後半は一転大鍾乳洞を舞台にした冒険小説になってしまうとう贅沢な一品。原作を読んだ事がなくても、なぜか「八つ墓村のたたりじゃ~」という台詞が流行ったような(←「落ち武者様のたたりじゃ~」じゃないところがいかにも子供に間ではやったっぽい)。
また数ある作品の中でも「犯人分かってるならさっさと捕まえればよかったのに」という突っ込みがもっとも似合う作品の一つといえるかもしれません。
それもまた金田一らしくていいんですけどね♪
ちなみに作品の題材があの「津山30人殺し」から採られたは有名なところです。

 

とりあえず前半終了。いかがでしょうか。メジャーな作品からわりと人気薄な作品もあると思います。
みなさんのご意見はいかがでしょうか?
さてさていよいよBEST5ですが、これはまた別の記事にて。
まだまだ有名な作品が残っていますよね。みなさんのBEST5と重なるでしょうか。
お暇な方は推理してくださいませ(←そんなやついないって。。。。)