アンソロジー『あなたが名探偵』

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ミステリーズ!》創刊時からの人気企画「犯人当て小説」が、待望の一冊となりました。

●泡坂妻夫「蚊取湖殺人事件」。スキーで怪我をした慶子が病院で出会った男が殺害される。包帯で絞殺させられた様子、果たして犯人は。
●西澤保彦「お弁当ぐるぐる」。主夫が日中殺害され、手には新聞紙を握り締めていた。胃の中は空なのに、彼の弁当箱は何者かが食べてきれいに洗浄していた。
●小林泰三「大きな森の小さな密室」。高利貸しの男の元に終結した男女。昼食時間の間に高利貸しの男が密室で殺されていた。犯人は誰か。
●麻耶雄嵩ヘリオスの神像」。自室で殺された男子学生は、神像に何を隠していたのか。つけっぱなしのエアコンとガスレンジは何を意味するのか。
●法月綸太郎「ゼウスの息子たち」。原稿執筆のため訪れたホテルで、恐喝者の殺人事件に巻き込まれた綸太郎。被害者の残したダイイングメッセージとは。
●芦辺拓「読者よ欺かれておくれ」。ペンションを訪れた森江たち。深夜に現われた鉄火面を被った女。翌朝客室で殺されていたのは?
●霞流一「左手でバーベキュー」。高原でのバーベキューパーティーに招かれた探偵・紅門。巻き込まれた事件で、被害者の左手が消えていた。


Yahoo紹介

 

先月読みました『気分は名探偵』と同じく、問題編と解答編が別々になってる形式の犯人当て本ですね。正直謎解きのレベルはともかく、短編としてのおもしろさはちょっと落ちるかな~。
とりあえず面白っかた順に。後ろの印は当たったものが○、外したものが×です。

 

① 法月綸太郎 『ゼウスの息子たち』(×)

 

この人はやっぱりこういうの慣れてるんじゃないかな~と。登場人物が少ないので犯人が当たりやすいかもしれませんが、伏線の張り方が巧いですね。真相を当てるにはかなり捻くれた伏線を見抜かなければいけませんけど、知ってる人には簡単かも。

 

② 西澤保彦 『お弁当ぐるぐる』(○)

 

かなりキャラ小説でその部分では駄目な人は駄目かもしれませんけど、犯人当てとしてはかなりマジメ。ただ伏線の為に用意された代物はバカっぽいものが多い気も。

 

③ 小林泰三 『大きな森の小さな密室』(×)

 

よく考えたら初めて読みました、小林さん。ものすごくシンプルな構造には好感を持てますが、容疑者を特定していく段階で若干強引かなという気もしないではなかったです。

 

④ 芦辺拓 『読者よ欺かれておくれ』(○)

 

分かる人には分かるだろけど、怒る人は怒るだろ~な~。正直プロローグがなかったら容疑者を絞りきれないのでは?でもこの人の淡白な持ち味は短編だと十分耐えれますね~(笑)

 

⑤ 霞流一『左手でバーベキュー』(×)

 

くだらないといえばくだらないですけど、でも霞さんなら当たり前か。この中では一番好き嫌いが分かれる作品かも。

 

⑥ 麻耶雄嵩ヘリオスの神像』(×)

 

ロジックは凄いんですけど・・・・はっきりいってよく分かりませんでした。難しすぎますね~。

 

⑥ 泡坂妻夫『蚊取湖殺人事件』(×)

 

老いたり、泡坂妻夫!!としかいえないというか、切れの悪い文章、強引なトリック。正直イマイチ~。

 

(2006.7.1 ブログ再録)