『僕の好きな横溝正史』BEST10(後半)

は~い、「僕の好きな横溝正史」BEST10、いよいよBEST5の紹介です。

 

前半はこちら

 

前半の最後にみなさん上位を推理してみてください、といいましたらたくさん(?)の推理を寄せていただきました。
iizuka師匠はアレとアレ、それからアレとアレ、ゆきあやさんはアレとアレとアレとアレとアレ、べるさんはアレとアレは確実に入ってるだろうと推理しております。
なるほどなるほど。さてさて皆さんの推理は当たってるでしょうか。
それではスタート!!

 

第5位

 

『本陣殺人事件』

 

ジャジャン、金田一初登場のこの作品が第5位です!!日本家屋での密室という当時としては画期的な作品ですよね。
今読むと機械的なトリックが鼻につくかもしれませんが、その即物性を補う小道具の数々と、著者の緻密なミスリードも冴え渡る一品。
また戦後初期の農村の風習を上手く取り入れており、今読んでもまったく色褪せません。
密室トリックが映像的にやや難があるのか、映像化という意味ではあまりお目にかからない作品ではありますが、高林陽一監督中尾彬主演で石坂金田一にも負けないザ・横溝の傑作映画があります。見つけるは難しいかもしれませんが、ファンなら見て損はないかと。。。


第4位

 

『三つ首塔』

 

続きましては、どちらかというとエロ!!の要素が強いこの作品。
個人的には『八つ墓村』ばりの最初から解決しておけよ金田一!!的要素と、『女王蜂』ばりの優柔不断な男女が生み出すある意味ブラックな殺人劇が融合した傑作かと(笑)。また、横溝作品で最も死体が多いのがこの作品だったような。
とにかくエロ描写が多いこの作品(金粉ショーなんかもでてきます^^;;)、横溝正史の芸風の広さを感じます。
しかしまあ、現代でこんなヒロイン描いたら女性読者から総スカンをくらうような気もしますが・・・でも好きなんだよう!!


第3位

 

『獄門島

 

いよいよベスト3、この作品はなにかの本の『東西オールタイムベスト100』の日本編第1位に選ばれておりました。
確かにそれだけの評価が相応しいと思います。
復員船で謎の言葉を残し死んだ青年、その予言どおりに狂おしき3姉妹が次々と恐ろしい姿で死んでいきます。
孤立した孤島、島を2分する権力争い、そして見立て。現代にまでその系譜を残す、まさに日本推理小説の原点といってもいいんじゃないでしょうか。
特に第1の殺人を発見した和尚が残したある一言が、後半になってもう一つの意味を表すさまは本当に美しい。
食い違った歯車のごとき殺人劇の真相のあまりの無常感は心を打ちます。
ちなみにこの表紙、読んだ人には分かるかもしれませんが実は非常に面白い表紙なのです。ヒントは映画。。。
気になる人はこっそりお教えします♪(←あくまで原作を読んだ人が前提ですよ~)


第2位

 

『真珠郎』

 

惜しくも次点の第2位、この作品の探偵役は再び由利先生です。
ですがこの小説の魅力は探偵役ではなく、真珠郎が全てだと思っています。
まさに純粋なる悪として描かれている真珠郎の美しくも狂おしい姿は、初期の横溝作品の幻想性に通じるものがあるのではないでしょうか。
またラストで物語が一転するさまは本格推理の要素をきちんと兼ね備えており、戦前戦後の横溝の代表的な作風の橋渡し的存在の作品だと思っています。
正直由利先生登場しなくてもよかったのでは?と思うのが微かな傷なのかなあ。
ああ、真珠郎真珠郎・・・・ちなみに知り合いの劇団の作品にもよく真珠郎なる人物が出てきます、閑話休題
ところでこれまでのベスト10には僕の持っている角川文庫版の表紙を掲載してきましたが、この作品は画像を載せていません。
それには理由があります。なぜならこの作品の表紙、事件のキーワードに思い切り抵触してるんですよね。
なので未読の方のためにもあえて乗せませんでした。とはいっても本を手に取ったら分かるんですけどね^^;;;


第1位

 

 

それでは栄光(?)の第1位!!
金田一ファンであると同時に磯川警部ファンである僕にとってはまさに珠玉の一品。
町にアイドル歌手が凱旋してきたのをきっかけに巻き起こる連続殺人。その死体は村に伝わる手毬唄に見立てられていた。
もうこれだけでクラシックな推理小説が好きな人にはたまらないでしょう!!
さらにはかつて村で起こった未解決の殺人事件まで絡んできちゃった日には、ああなんて贅沢♪
そしてこの小説の真の主役はやっぱり磯川警部でしょう。
ほのかに想いを寄せる旅館の女主人の為に奮闘する姿はもう純情きらり
ラスト、金田一が磯川警部にかける言葉がもう涙涙でございますよ。
映画版の若山富三郎も素敵だったなあ~~♪


以上、『僕の好きな横溝正史」BEST10、いかがだったでしょうか?
おそらく順位はともかくベスト5に入った作品を全て当たった人はいないんじゃないかと、それぐらいちょっと捻くれたランキングだと思います^^;;
僕もやってみて「ああ、ベスト20」にすればよかったとちょっと公開しています。
だって「女王蜂」や「犬神家の一族」は傑作だし、初期の「鬼火」や東京物の佳作「悪魔が来たりて笛を吹く」、現代エログロ(?)に挑戦した「白と黒」も捨てがたかった。
みなさんの思い出の横溝正史はどんな作品でしょうか?