たいりょうのちょっと一息

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能面殺人事件 著者:高木彬光

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ある夏の夜、千鶴井(ちづい)家の当主、家次郎が寝室に置かれた安楽椅子の上で急死した。死因は心臓麻痺であった。現場は完全な密室情態で、死体の傍には呪いを宿していると言い伝えられる鬼女の能面が残されていた。しかもその直後、葬儀屋が、依頼主のわからぬ三つの棺を届けてきたのだ。これは連続殺人を予告するメッセージか?狂気と醜い人間の欲望が渦巻く一族に次々と起こる惨劇は、巨額の財産を狙う者の犯行か、それとも復讐か?S25探検作家クラブ賞(日本推理作家協会の前身)受賞の、本格推理の代表傑作。
                              amazon紹介より

 

日本推理小説界を紐解くと、いわゆる3大名探偵と言われる探偵達がいる。有名なのは江戸川乱歩の生み出した明智小五郎横溝正史の生み出した金田一耕助推理小説を読まない人でも、テレビや映画といったメディアを通じてどこかで聞いた事のある名前だと思う。

そして、最後の一人は高木彬光の生み出した神津恭介である。結構2時間ドラマで登場するのだが、イマイチ他の二人に比べると知名度が低い。その理由として、いわゆる神津物の小説で傑作とされるものが少ないからかも知れない。推理小説ランキングなどが行われる場合、入ってくるのは『刺青殺人事件』『人形はなぜ殺される』ぐらいだろう。

その中で、今回は『能面殺人事件』を読んでみた。著者の長編第2作であり、日本推理作家協会賞を受賞したこの作品。実は、神津恭介出てきません。
じゃあ、今までの前ふりがなんだったのか?
別に特に意味はございません。まあ、先々神津物を紹介する事もあるでしょう。

と、言うことで作品に触れますが、ネタばれありなので気をつけて下さい。

 

この作品、やっぱりクリスティの『アクロイド殺し』の本歌取りなんでしょうな。小説の大部分はこの事件の探偵役を務める柳光一の手記という形を取っています。これは劇中に登場する著者と同名の高木彬光曰く、『探偵が事件の記録を書き綴るという、世界的に見ても類を見ない形式のミステリー』らしいのですが、読みなれた人には思いっきり作者の仕掛けた手法が分かっちゃうんでしょうなあ。

 

というか、全体的に文章が固いというか、物語の雰囲気作りがイマイチ類型的過ぎて、読んでて飽きが来る。真相が分かっても、イマイチ何故そこまでする必要があるの?という感じ。
また、小説の根幹を成す手記に隠されたトリックが効果的じゃない。真相が明らかになった時に、そうかという感動が無く、そうなのねってなんとなく納得出来る感じ。
といか、速記法のくだりは、あまりに説得力が・・・
決してつまらない訳じゃないけど、何となくなにも残らない・・・
まあ高木先生の気負いだけが空回りというか・・・

ということで

結論:おどろおどろしさが好きな人は読んでもよろしいですが、期待は禁物です。
   でも、面白い小説はたくさん書いてる作家なんですよ。