『冷たい密室と博士たち』(☆3.4) 著者:森 博嗣

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同僚の喜多助教授の誘いで、N大学工学部の低温度実験室を尋ねた犀川助教授と、西之園萌絵の師弟の前でまたも、不可思議な殺人事件が起こった。衆人環視の実験室の中で、男女2名の院生が死体となって発見されたのだ。完全密室のなかに、殺人者はどうやって侵入し、また、どうやって脱出したのか? しかも、殺された2人も密室の中には入る事ができなかったはずなのに? 研究者たちの純粋論理が導きでした真実は何を意味するのか。
Amazon紹介より
 

すべてがFになる』に続く「S&Mシリーズ」第2弾。デビュー作が衝撃的だったせいか、この作品の評価はイマイチ評価が低いようですが、僕は結構好きなんですよね。

前作に比べて、ミステリーとしては結構正統派。可能性を一つづつ消していき、犯人と殺害方法をつきとめる過程は、クイーンばりに緻密だったりします。きちんと推理していけば、読者も十分に真相を掴むことができるし。ちなみに僕もこれは久しぶりに完璧に解けました♪

その中でも、森ミステリーらしいのは犯行の動機の裏に隠された人間関係でしょうか。
前作の動機も、ある意味かなり衝撃的というか理解不能(理性的に考えて)でしたが、最初の殺人の被害者である女性の殺されなければならない理由もある意味、どこか居心地の悪さが残ります。
前作の犯人があまりに超越した存在だったのに対し、この作品の犯人が普通の人間であるからこそ、この居心地の悪さが余計印象に残りました。
この居心地の悪さの感覚が多分僕の好みにあってるんだと思います。

でも、一番衝撃なのは国枝助手の結婚話。ある意味事件以上に難解な問題です。

 

(2005.10.21 ブログ再録)