『迷路館の殺人』 著者:綾辻行人

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複雑な迷路をその懐に抱く地下の館「迷路館」。集まった4人の推理作家たちが、この館を舞台に小説を書き始めた時、惨劇の幕は切って落とされた! 密室と化した館の中で起こる連続殺人。真犯人は誰か? 随所にちりばめられた伏線。破天荒な逆転につぐ逆転。作中作『迷路館の殺人』が畏怖すべき真相を晒した後、更に綾辻行人が仕掛けた途方もない2つの罠! Amazon紹介より
 

 館シリーズ第3弾で、シリーズ中の人気は1,2を争います。容疑者の少なさとシンプルな構成、なによりも迷路館の構造そのものが事件に大きな役割を果たしているという意味でも、完成度の高さは屈指のものだと思います。
特に、自分の死を予告するかのような原稿の内容は、往年のミステリファンにも堪らない道具立てじゃないでしょうか。
 傑作『霧越邸殺人事件』と微妙にシンクロしてるあたりには、綾辻ファンにとってはにやっとしますね。
 ちなみにこの本を読むのは是非、ノベルズ版をお勧めしたいです。凝りに凝った装丁もこの作品の魅力の一つですから。

以下ちょっとネタばれ

うーん、この作品も性に関する叙述トリックが使われているのですが、『十角館の殺人』と同じで巧く表現できてるとは思えないんですよね~。読み手をミスディレクションに誘導しようしよう、というのが強すぎてどちらにも読めるというのが無理やり解釈しないと伝わらないんですけど。
まあ、あの血液の理由を見破れればなんとなく、犯人は分かるんですけどね。