『魔王城殺人事件』(☆3.2) 著者:歌野晶午

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星野台小学校5年1組の翔太たちは、探偵クラブ「51分署捜査1課」を結成した。いくつかの事件を解決し、ついに、町のはずれにある悪魔の巣窟のような屋敷、デオドロス城(僕たちが勝手に名付けた)にまつわる数々の怪しいウワサの真相を確かめるべく探険することに!潜入直後、突然ゾンビ女(?)が現れたかと思うと、庭の小屋の中で謎の消失!新たに女子2人が加わった「51分署捜査1課」は再び城に。今度は小屋の中で乳母車男(!?)の死体を発見してしまうのだが、その死体も消滅してしまう。やはりデオドロス城には何かただならぬ秘密が隠されているのだ。 


Amazon紹介より

 

あ~、なんだか懐かしい感じの小説ですね、これ。
小学生の頃、『ずっこけ3人組』シリーズを読んだ時のような分かりやすいドキドキ感がありました。

雑木林の中に建つ古めかしい洋館、女性の幽霊、小屋から消えるサッカボールの謎。
いかにもっていう道具立て・筋立てがうまく使われてて、これは普通に小学生が読んでても面白いだろうな~って思う。しかも作中の単語もなるだけ難しいのを使わずに、会話も現代の子供っぽく工夫されてるし、かなり気を配って書いてるのがわかりますよ。

殺人事件発生以降はどうしても専門用語が飛び交ったりするんですけど、この辺もまあミステリーランドを読む子供ならなんとか通じるんじゃないかなと思いますし、殺人トリックもよくも悪くも大雑把に語られててすごく分かりやすいと思います。

ただ、視点をかなり下げた対象に持ってきてるせいか、密室トリック自体は速攻わかりました。まああれだけシンプルにおかしな構造の小屋を見せられたら勘のいい子供だったらすぐわかっちゃうんじゃないかな~。サイドストーリーの蟻の移動の謎もヒントがたくさん出てるのでよ~く読めば絶対わかりますしね。

そういう意味では本格というのは少し物足りないっていう気もしない訳ではないですけど、この配本シリーズの目的(この辺は想像ですけど)からするとちょうどいいバランスなのかもしれないですね~。

うん、普通に童心に帰れて面白いなと思いますです。

(2006.4.25 ブログ再録)