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『恋恋蓮歩の演習』(☆3.9) 著者:森博嗣

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世界一周中の豪華客船ヒミコ号に持ち込まれた天才画家・関根朔太の自画像を巡る陰謀。仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草と紫子、無賃乗船した紅子と練無は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。交錯する謎、ロマンティックな罠、スリリングに深まるVシリーズ長編第6作。

 

前作の「魔剣天翔」がなかなかに面白い作品だと思いましたが、そのストーリーからの流れを受けたこの作品もそれ以上に面白かったですねえ。

 

事件やトリックそのものはソフト。特に絵画消失事件に関する解決部分は若干強引な部分もあり、ややアンフェアな気もしました。
ただ逆にエピローグ1歩手前のところでアンフェアに感じさせた部分をエピローグでひっくり返す手法は決まっていたと思います。
これに関してはまあ分る人にはわかると思います。僕は騙されましたけど^^;;

 

ただそれ以上に今までの作品で作り上げてきたキャラの造形が物語に深みを与えていると思います。
こういうものはシリーズ物の醍醐味的な要素の一つだと思いますし、この点に限っていえばS&Mシリーズより上でしょうかね。
特にこの物語の鍵を握るとも言うべき保呂草と羽村怜人の対比は物語のエッセンスとしてかなり効いてる。
羽村さん、ダンディすぎて保呂草を食っちゃったかも(笑)。保呂草ファンにはドキドキですね^^;;

 

個人的には紫子さん、可哀想すぎるよな~。
あんなに純に、しかも一生懸命保呂草さんにぶつかってるのに、ほんと報われないんだもんな~。
保呂草さん、意地悪すぎませんか。

 

その保呂草さんも前作でぐっと全面に出始めた裏設定がこの作品ではさらに前に出てきてますよね~。
だんだんシリーズの色が変わってきてるような気がするのは僕の気のせいでしょうか(笑)。

 

採点   3.9

(2006.9.3 ブログ再録)