『人狼城の恐怖』(全4部作)(☆4.4) 著者:二階堂黎人

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《人狼城》は独仏の国境の峻険な渓谷の上に屹立する古城。城主を〈人狼〉に惨殺されたという言い伝えのある曰く付きの城だ。1970年、西独の製薬会社が10名の客をこの城に招待した。長い間、人が近づくのを峻拒してきた頃に滞在し始めた人々の上に、伝説を地でいくような、身の毛もよだつ殺人事件が起きたのだった――。 <ドイツ編>  

 独仏国境の峻険な山岳地帯に屹立する二つの古城。フランス側の〈青の狼城〉でも、凄惨極まりない殺戮事件が起きた。ナチスが遺した〈星気体兵団〉の亡霊を追って古城に踏み入った〈アルザス独立サロン〉のメンバーが残した日記には、驚愕の事実が記されていた! <フランス編>

 十数名に及ぶ人名がやすやすと奪われた、あの怪奇的で残虐な、血みどろの《人狼城殺人事件》――背後には悪魔以上に怪物的な犯人が必ずいる! 美貌と無類の知性で難事件を解決する名探偵・二階堂蘭子は、義兄・黎人とともに、この超絶的事件解決のため一路ヨーロッパへ。幽鬼のごとき殺戮者の魔手は、蘭子にまで伸びるか!? <探偵編>

 人狼城殺人事件の怪異に満ちた謎のすべてが、名探偵・二階堂蘭子の冷徹な論理によってついに解き明かされる。死屍累々たる惨劇の舞台《人狼城》で、蘭子が迎えた真犯人とは? そして不可能を可能ならしめた驚天動地の大トリックとは!? 本格推理小説の金字塔、華麗なる完結! <完結編>

Amazon紹介より

 

 世界最長の推理小説に挑戦すべく(?)執筆され、めでたくその偉業を達成(?)された、とんでもないボリュームの本です。

 ドイツ編を読んでなかなか解決編に移らないなあ~、と思ったら3部構成だったのに気づき愕然。フランス編を経て、探偵編の発売を待ち焦がれやっと出たと思ったら、4部構成に変更かい!!
でもまあ、それぐらい苦労した甲斐はあった小説でしたけどね。あ、これも先に『地獄の奇術師』読んでおいて下さいな。

 ドイツ編、フランス編あわせてたくさんの人が死にます。しかもほとんどの皆さんがとんでもない殺されかたをしてます。しかも、探偵編~完結編に入ってまたさらに死者の数が増える事が判明するし。

 それにしても、このトリックに本当に落ちがつけられるのかよとは思いますよね。自慢じゃないですが、城の構造のトリックとワイン倉庫のトリックは分かりました。謎の老人の正体も分かりました。犯人も大体分かりました。っていうかコレだけ分かっても、全体の謎の半分も分かってないこの小説って・・・・。

 また何故こんなにたくさんの人が殺されなければならなかったのか、この理由がまたすごいです。でも、動機が明らかにされても、なお「でも、なんでこの人たち?」っていう疑問は完全に解決はされなかったですけど。犯人の狂信的思想も理解は出来ますし、ロンギヌスの槍に関する考察もなるほどな~とは思いました。
 それだけにもう少し犯人について深みが欲しいかな~。かなり無茶な設定もあるし。
 個人的には、趣味で「ハーメルンの笛吹き男」の研究をしてるので、そのネタが絡んだのはちょっと嬉しかったなあ。

でもまあこれだけでの長さに渡って伏線を張り巡らした二階堂さんの思考回路に乾杯です♪

(2005.12.8 ブログ再録)