たいりょうのちょっと一息

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『Q&A』(☆2.8) 著者:恩田陸

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2002年2月11日午後2時過ぎ、都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず―。質問と答え(Q&A)だけで物語が進行する、リアルでシリアスなドラマ。謎が謎を呼ぶ"恩田陸ワールド"の真骨頂。

Yahoo紹介
『ユージニア』のレビュー で、冴さんがこの本を読んだ時に壁に投げそうになったという感想を聞き、ワクワクしつつ読み始めました。

 

全編の文章スタイルはタイトルから想像できる通り事件当事者もしくは関係者・傍観者の会話形式であり、特に前半のインタビュー形式の部分は、事件の不可解さと共にインタビュアーの立場が不明な分不気味さと緊張感が増して、かなりドキドキしながら読んでいきました。

 

中盤あたりから本書の狙いはこういうところかな~と想像しながら読んでましたが、裁かれない悪意、無意識な悪意という、非常に曖昧な部分をうま~く曖昧なまま文章に浮かび上がらせる手法は恩田さんらしくピタッとはまってたと思います。
下手に直接的な恐怖より、正体の分からない恐怖の方が実は怖いんですよ。そういう世界を描かしたらほんとにこの人は上手だと思います。

 

ただ、後半タクシー運転手の会話あたりからじょじょに自分の想像してた方向と違う方に進んでいってるような不安が湧き始め、あの驚愕のラストへ。
中盤までの雰囲気を否定するようなラスト。いや、これはこれで人間の無意識の悪意という裁かれないものの一つの形としては、この小説から浮いてると言えないと思います。
ただ、この会話で終わるというのは、いくらなんでも放り出しすぎなんじゃないでしょうか。ここで終わると、なんだかそれまでの緊張感を全否定されてるような。
特に、タクシー運転手のああいう会話を挿入した(これに関しては僕がストレートに受け取り過ぎなのかもしれませんが)のであれば、なおさらこういう終わり方は納得出来ません。

 

もしあの会話部分が無ければ、もしかしたらこういう終わり方もありなのかなと納得できるかも・・・いや納得できなかな、やっぱり。

 

中盤までは個人的に文句無しなんですが、ラストで相当ガックリさせられたのは個人的な評価としては大幅に減点したいです。

 

ところでまったく関係ないのですが、この本絶対に初読のはずなのにどこかで読んだような気がしながら読んでました。
僕は時々こういう事があるんですが、みなさんはありませんか、そういう事?

 

採点   2.8

(2006.6.4 ブログ再録)