たいりょうのちょっと一息

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『びっくり館の殺人』(☆3.6) 著者:綾辻行人

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とある古書店で、たまたま手に取った一冊の推理小説。読みすすめるうち、謎の建築家・中村青司の名前が目に飛び込む。その瞬間、三知也の心に呼び起こされる遠い日の思い出…。三知也が小学校六年生のとき、近所に「びっくり館」と呼ばれる屋敷があった。いろいろなあやしいうわさがささやかれるその屋敷には、白髪の老主人と内気な少年トシオ、それからちょっと風変わりな人形リリカがいた。クリスマスの夜、「びっくり館」に招待された三知也たちは、「リリカの部屋」で発生した奇怪な密室殺人の第一発見者に!あれから十年以上がすぎた今もなお、事件の犯人はつかまっていないというのだが…。 


Amazon紹介より

 『黒猫館の殺人』→『暗闇館の殺人』から考えると、この短いスパンで「館シリーズ」が読めるというのは幸せですな。
タイトルが発表された時には、今度は一体どんな館なんだろ~って思ってましたが・・・・なるほど、びっくり箱でしたか。前作の『暗闇館~』の設定が微妙だったので、今回のストレートさは好きですね。

 で、感想はというと、やっぱりそれなりに面白かったです。
 今までの作品と違って、割とストレートに抜け穴(シリーズのお約束ですね)のネタばらしをしてるのが新鮮かな~。でも早い段階で抜け穴の存在を提示する事によって、真相の存在を隠してる気がするので、さすがにこの辺はベテランの味というところじゃないんですか。

 ただ、個人的にはラストが・・・。
 この終わり方は、どちらかというと「館シリーズ」というより「囁きシリーズ」を彷彿とさせますよね。事件が解決したと思わせておいて、実は・・・っていうのいいんですけど、でもこの余韻を引っ張る必要性は無いような気が・・・。
 ところで、最後よく分からなかったのですが、なぜ彼女は彼と一緒に館にいたんですか?招待状?それとも、何か物語的な後味なんですか?
 この部分だけが最後まで引っかかったままなんですよね~。これは読み込みが足らないからかしら。

 さてさてこの小説も「ミステリーランド」の配本の一つなわけなんですが、これは作者の子供に対するスタンスがはっきりでる企画ですね~。というよりも、作者が少年時代にどんな小説を楽しんでたのか、って事かもしれないですけど。
 そういう意味でこの「ミステリー」という言葉は、本格推理・少年探偵団・冒険小説・ホラーといった広義な意味に捉えることが出来るので、作者の持ち味が出しやすいんですかね。
 綾辻さんも、本格だけではなくホラー小説や幻想小説に対する思い入れの強い作家さんなので、「びっくり館」は、らしい小説って言えるかもしれません。

 ただ、個人的な意見ですが僕の小さい頃はどんな小説であれ最後までドキドキワクワクしながら読みたいっていうのがあるんですよね~。 しかも、最後は気持ちよく終わって欲しいというか・・・。

 子供の読解力を甘く見るつもりはありませんが、でもこの配本を手にとってミステリをこれからも読み続けてみようと、思わせるには多少の明快さも必要な要素かもしれないと思います。

 もちろん「びっくり館」の終わらせ方も、ひとつの形としてはありだと思うんですけど、個人的にはあのラストにするんだったら、彼一人を登場させか、大人になった彼女のキャラをがらっと変えて見たほうが、曖昧なりにすっきりとすると思うんですが、どうでしょう・・・。

 あと、まったく関係ないですが、登場人物の一人である俊生君、読んでて映画「呪怨」の敏夫君を思い出してしょうがなかったっす。名前も同じトシオだし・・・。

(2006.5.9 ブログ再録)