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『エデンの命題』
タイトルを見たときには、旧約聖書に登場する「エデンの園」、アダムとイブに関する謎のミステリーかと思いました。
あらすじを読んで、最近の島田作品に見られた脳に関する物語かと思いました・・・。
しかし、その実態は・・・・。
これ以上書くと、事件の構造そのものに触れちゃいそう。短・中篇の感想ってそういう意味で難しいな~。
で、正直にいうとあまり面白くなかったです。
最初に延々と、アスペルガー症候群、アダムとイブの説話に関する問答があるわけですが、興味がないと少々ついていきにくいです。特に、遺伝子に関する話は知らない用語も出て来て、途中で読むのをやめようかなと思いましたよ・・・。
で、後半は一転してテンポアップするんですが、これがまたとってつけたようなどんでん返し(もう、かなり想像ついちゃうんですよ、この部分)。
これって、同一の話にしちゃう必要があるのかな~。ネタとしては一応アスペルガー症候群が鍵にはなってるんですけど、それにしても内容が薄いと思う。
これだったら、まだ別々の小説を掘り下げて書いた方がいいんじゃないかな~。
でも、このネタだと両方とも辛い小説になりそうな予感・・・。
記憶障害のある男の独白が、60年代後半のアメリカを恐怖させた連続殺人集団と結びつく・・・。
そういった猟奇殺人に詳しい人なんかは、このタイトルだけでピンとくると思います(僕は結びつきませんでしたが)。
『エデンの命題』よりは、こっちの方がまだおもしろかったかな~。
一応脳の構造に関する考察は読んでて気が滅入らなくもないですが、でも軽く読み流してもそれなりにストーリーも把握出来るし・・・。
でも面白いのはその部分だけかも。ラストの部分の真相を明かす部分なんかは、もう作者も書き流してる感たっぷりなような。
ラストの会話の余韻はそれなりにあるんですけど、でもやっぱり長さ不足だと思います。
(2006.5.11 ブログ再録)