Amazon紹介より
この直前に読んだ島田さんの『透明人間の納屋』に較べると、いい意味でも、悪い意味でも典型的なジュヴナイル作品だな~って思っちゃいます。
この辺は、やっぱりそれまでの経験の違いなんでしょうな。さすが、ジュヴナイル・ミステリーの第1人者だけはありますね。とはいっても、僕ははやみねさんの作品を読むのは初めてですが。
やっぱりこれだけ短いフレーズで、読者に簡潔なイメージを伝える。だからあまり奇をてらった設定は用いない。そんな感じの文章なので、非常にさくさく読めます。
出てくる内容も、怪しげな探偵、超常現象に怪奇現象、人喰い小学校、首なし幽霊、人魚の宝物、神隠し、暗号・・・もう、てんこ盛りです。
子供の頃にこんなフレーズに出会ってたらそれだけで楽しいかも。
これだけの要素を一本に集約させていく訳ですが、まあ正直強引な所はあります。
いろんなところで、いくらなんでもそこは想像飛躍しすぎだろ!!ってついつい突っ込んじゃったりして・・・。
でもまあ、猫柳さんは探偵ではなくて未来屋なのでいいのかな???
しかし、この猫柳さん、ホントに胡散臭い。
登場して最初の一言が、「未来を知りたくないかい?」ですよ。風太じゃなくても無視しますわな。
妙にフェミニストだし、その分男にはかなり冷たい。
小学生の風太にたかって、一度も奢ること無し。
でも、なんとなくいないと寂しくなるような、そんな気がしないでもないかな。
すべてが終わってみると、なんだかいい終わり方。最後にビックリエピソードも残してくれるし。
正直、ミステリーとしてはなんとも普通~な作品。
子供が読んでスラスラ楽しく読めるんだけど、でも逆にこれを読んだ子供が「ミステリーっておもしろいな」と思って他の本まで手を伸ばすかどうかは不安です。
んー、要するに普通のジュヴナイル小説って事ですか?
ちなみにお気に入りのフレーズ。
主人公であり、小説家を目指してる小学生風太君が、小説を書いて呟いた一言。
「この作品なら乱歩賞・・・いや、ひょっとするとメフィスト賞もねらえるかもしれない。」
メフィスト賞もついにここまで来たか。
(2006.5.13 ブログ再録)