Amazon紹介より
正直カバーのイラストで敬遠してました・・・いやこういう絵は嫌いじゃないんですけど、でもメフィスト賞の肩書きでこれだとねえ・・・
しかしまあ、最近このシリーズの評判が予想以上に高いようなんで、ちょっと読んでみたんですけど・・・
う~ん、正直うまいなあと思う。
なにより語り部たる通称「いーちゃん」に戯言遣いという肩書きを与えた事によって、くだらないと切り捨てられそうな独白の数々を正当化してるんですよね。
これだと文句つけられないよな~。
しかも、ほんとにただの戯言かと読み流してた部分に意外に物語の核が隠れてたりして、あなどれないぞ。
文章をとってみても、「青色サヴァン」こと玖渚友の「ふにゃー」や「ぼく様チャン」などなどの今風言語?を使いかなりライトな感覚の、読者を選びそうな割に一人称視点の表現にかなり気を配ってるように思えるし。
物語も非常に練られてるというか、一人一人の個性(天才たる所以)を明確にしてそれを元にキャラ付けしてるせいか、一つ一つの会話や言葉の選び方にきちんとした性格が感じられるんですよね。
だから、真相解明部分に入って二転三転する物語、この転がし方も普通に書いてたらバカミスって言われかねない部分もきちんと読ませきってる感じがありますよね。特に死体と残された絵の処理なんかはこの世界だから通用するものだと思いますよ。
いわゆる推理小説のお約束的な要素をちゃかしてるような密室トリックなんかには、メフィスト賞(というよりは過去の受賞者である長髪のアノカタ・・・)だなあという気もするあたりがマニアにはたまらない・・・
読み終わってみると、なんだか次のシリーズも読んでみたい、というかこれからこのシリーズがどういう風に展開していくのがわからないって部分で物凄く興味津々です。最初は苦手だった表紙(挿絵)のイラストも、終わってみればこれしかないのかねって感じ。
これから先このジャンルだけではなくて、もっといろんな幅を見せてくれる、ちょっと楽しみな作家さんです。
(2006.3.29 ブログ再録)