『暗黒館の殺人』 著者:綾辻行人

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九州の山深く、外界から隔絶された湖の小島に建つ異形の館―暗黒館。光沢のない黒一色に塗られたこの浦登家の屋敷を、当主の息子・玄児に招かれて訪れた学生・中也は、"ダリアの日"の奇妙な宴に参加する。その席上、怪しげな料理を饗された中也の身には何が?続発する殺人事件の"無意味の意味"とは…?シリーズ最大・最深・最驚の「館」、ここに落成。
                              
Amazon紹介より
 

やっと『館』シリーズ最新刊ですね。前作『黒猫館の殺人』の発行年を調べると、え~と1992年か。
で、これが発売されたのが2004年・・・お~、12年ぶりですか。待ったな~。

で、いきなりシリーズ初の上下巻、当然長さも最長ということで。
綾辻氏曰く、「無駄なものは何一つない」だそうでございます。

<font size=4 color=red><b>そうですか?</b></font>

最初は面白かったですよ。『館』シリーズの構成と『囁き』シリーズの雰囲気が混ざったような、綾辻ミステリーの現在までの集大成的な予感をさせて。でも、だんだん読み進めるの修行のようになってきて・・・。この感覚はなんだか『陰摩羅鬼の瑕』を読んだ時の感覚に似てるぞ(笑)。綾辻ファンだから、『館』シリーズのファンだから読み進められるみたいな。少なくとも読者を選ぶ作品になってるような。

多分、僕は選ばれなかったですね(笑)。だって、無駄が無いとは思えなかったんだもん。
いや、綾辻さんが細部まで拘って書いてあるのは非常によく分かるんですよ。分かるんですけど、それが小説としてあまりにも過剰になってしまってると思うなあ、これは。

作品の根幹にあたるテーマもいろんな所で見かけるもので、正直これですか、みたいな(笑)。
いや、別にテーマの新鮮さのうんぬんはいいんですけど、それにしても・・・。

確かにシリーズの集大成的な作品ではありますよ。うーん、12年も待ったせいか、過剰な期待を掛けすぎたのかなあ。
正直読むのにホント疲れた作品でした。

採点

テーマ   2.5(うーん、うまく処理できるとは思えない。)
トリック   2.5(なんでしたっけ・・・、物語に飲み込まれて覚えてません)
ストーリー  3(江南君がこんな風になるとは。)

総合    2.5

でとりあえず、ついでにマイ『館』ランキングを。点数とは比例しません。好みも入ってるので。

1位 『人形館の殺人』(誰がなんといおうとこの雰囲気が好きなので)
2位 『時計館の殺人』(もっとも新本格として洗練されている作品だと思います。)
3位 『十角館の殺人』(いろいろ瑕はありますが、あの犯人の正体が明かされる会話のシーンは出色です。)
4位 『黒猫館の殺人』(『時計館』が新本格なら、こちらは古き本格の匂いを漂わせた作品ですね)
5位 『水車館の殺人』(もっとも犯人当てを意識している作品ですが、意識しすぎてバレバレだったのが・・・。)
6位 『迷路館の殺人』(出来としてはもっと上位に押したいが、鹿谷門美という名前を生み出したという点が・・・。)
7位 『暗黒館の殺人』(これは正直、どこが面白いのかわからなかった・・・)