邦画『THE 有頂天ホテル』 監督:三谷幸喜

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大晦日を迎えた「ホテルアバンティ」では、ホテルの威信がかかった年越しカウントダウンパーティーの準備で大忙し。そんな中でも副支配人の新堂平吉(役所広司)は、様々な問題に機転を利かせて対応するのだが・・・。 人気脚本家の三谷幸喜が『ラヂオの時間』『みんなのいえ』に続き、今度は大晦日の高級ホテルで繰り広げられる奇跡のドラマを描いた監督第3作。役所広司松たか子佐藤浩市香取慎吾など日本映画を代表する23人の豪華キャストが、迷路のようなホテルの中で働く従業員や訳ありの宿泊客を演じる。 


Amazon紹介より

 相変わらず大人気劇作家三谷幸喜の監督第3弾。
 前作から一転して、お得意(?)の限定された空間でのドタバタ人情コメディ。まあとにかく緻密な時間構成で組み立てられた俳優陣の動きとカメラワークはやっぱりすごいっす。

 30人を超える個性派役者陣が繰り広げるドラマが、映画の終わる頃には1本の物語に収束させる豪腕っぷりはもうこれぞ三谷節!!っていうしかないっす。
 だけど正直、その部分に力を入れすぎて正直肝心のひとつひとつのドラマが薄くなってる気がするんだよな~。なかには捨て役というか、いなくてもいいだろうと人もいる気がするし、あえてドラマを作っちゃってるような空気を感じさせられるんですよね。
だから、ラスト前の一番の見所(多分)である佐藤浩市相手に啖呵を切る松たか子にイマイチ感情移入できない・・・。

 登場する役者陣はさすがにいい味だす人が多いですね。
 香取君は勢いがあるところを見せてますし、津川さん・佐藤さん・役所さんあたりはさすがの芸達者、松さんをはじめとした女優陣もかなりいいです。

 でもやっぱり一番の見所はYOUの歌♪上手いというより巧いというか、さすが元バンドボーカル、かなり聞かせてくれます。正直物語部分よりも映画を語ってたような。香取君が歌った甲本ヒロト作詞・作曲の歌もかなり印象に残ったし。あとはもう伊東四郎。顔を塗っただけであんなに面白い。さすがコメディアンの底力といいますか。

 脚本の甘さを役者の個性で補った感のある作品、でもそうはいってもこれだけの脚本を書ける人もなかなかいないというのも現実なんだとは思いますけどね。

(2006.3.29 ブログ再録)