たいりょうのちょっと一息

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『海のある奈良に死す』(☆3.0) 著者:有栖川有栖

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半年がかりで書き上げた長編が、やっと見本になった!推理作家・有栖川有栖は、この一瞬を味わう為にわざわざ大阪から東京へやってきたのだ。珀友社の会議室で見本を手に喜びに浸っていると、同業者の赤星学が大きなバックを肩に現れた。久しぶりの再会で雑談に花を咲かせた後、赤星は会議室を後にした。「行ってくる。『海のある奈良』へ」と言い残して…。翌日、福井の古都・小浜で赤星が死体で発見された。赤星と最後に話した関係者として、有栖は友人・火村英生と共に調査を開始するが―!?複雑に絡まった糸を、大胆にロジカルに解きほぐす本格推理。!!
                              Amazon紹介より
 

 有栖川さんの火村シリーズですね。
 今回の謎は「海のある奈良」はどこなのか?この問題にすべての謎が集約されてます。込み入ったアリバイトリックも無いですし、全体としてシンプルな仕上がりになってますね。
「海のある奈良」とはどこなのか。この命題は結構僕としては魅力的です。地理学的捜査や八百比丘尼伝承にまつわる考察なんかは、結構僕の趣味なのです。

 でも、やっぱりなにか物足りない・・・。
 いろいろ考えるに、登場人物が印象に残らないからではないかと。今作では実年齢40半ば、見た目20代前半という自然の摂理を覆したような女性が登場します。この設定は、まあ明らかに「人魚の肉を食べると、永遠に年を取らない」という、八百比丘尼伝承になぞらえたものなんでしょうが、この部分がもう少し有機的に本編に絡んでくると、この女性の存在にもう少し深みが出てくるんだけどなあ。

 他に登場する人物(被害者・犯人含む)も、なんだかちょっと類型的な描き方で、動機が明らかになったときのカタルシスを受けなかった。というか、犯人の名前が明らかになった時に、えーとこの人誰だっけと思っちゃったし(単に読解力不足?)。
 あと個人的にサブリミナル効果をつかったトリックはどうなのよ?と思ったのも減点対象かな。

 唯一魅力的なのが有栖川有栖の同業者でもある小夜子かなあ。彼女が死んでしまった恋人への想いを、アリスに垣間見せる辺りはちょっとぐっときましたけどね。うーん、テーマがシンプルなだけにもう一ひねりほしいかな。

で、採点は

トリック:2.5(すいません、なんとなく想像ついちゃって)
意外な犯人:2.5(いまいちそこへの興味が持続しなかったので)
本格度:3(よくも悪くもまっとうな本格だと思います)

で、総合点 3で!!

 

(2005.10.5 ブログ再録)