「初めてのミステリは何がいい?」~『本楽大学ミステリ学部』第1回レポート~

(2007.1.12 ブログ再録)

 
しろねこ・・・もとい、マダムホワイトさんによる『本楽大学ミステリ学部』がついに開校した。(→詳しくはこちら
そもそもマダム・ホワイトさんは校長と呼ぶべきなのか、学長と呼ぶべきなのかそこがすでにミステリ・・・。
いやそんなことはどうでもよく、ミステリを愛して20年の僕もさっそく入学を希望、許可された。

 

そして早くも第一回レポートの提出がはじまった。(→詳しくはこちら
テーマは『ミステリと私』。早速同期入学の方がレポートを提出する中、僕もなにか考えなければいけない。
と、そんな中記事で目に付いた文章がこれ

 

『ミステリはあまり読んでいないという学生さんに向けての初心者用紹介記事なども歓迎します。』

 

そうなのだ、世の中にはミステリをほとんど読まれない方がたくさんいるのだ。
実際僕の周りでもミステリを語れる人が1,2人しかいなかった記憶がある。
やはりミステリ好きとしては密室殺人を、連続殺人を、不可能殺人を大いに語りたいのだ。
そのために多くの人を洗脳しなければならない!!(笑)。
ということで、僕なりに『ミステリを読んだ事のない人』のためのお勧め本を紹介してみることにする。

 

基準としては、なるだけオーソドックスな本格。
そもそもミステリの定義はどんどん広がっているので、多少は絞らないと選べない。
次に、作者のミステリにおけるベストを紹介するのではなく、読みやすさを含めたバランスを重視して見ることにする。
また現在における入手のしやすさも考慮してみる。

 

まずは日本の本格ミステリにおける一般的な古典三大名探偵の作品から選んでみよう。

 

『屋根裏の散歩者』江戸川乱歩光文社文庫
まずは明智小五郎
短編でありながら、乱歩のもつ妖しい怪奇性と論理性が結実した傑作のひとつ。

 

『獄門島横溝正史、角川文庫)
続いては金田一耕助
オールタイムベストにも名前があがる作品。適度な分量だし、閉鎖的な雰囲気と見立て殺人、さらには異様な動機とオーソドックスな魅力がつまった作品。

 

『人形はなぜ殺される』高木彬光光文社文庫
最後は神津恭介。『刺青殺人事件』もいいのだが、読みやすさとトリックの面白さではこちらもすばらしい。

 

続いては同時代(?)に活躍した作家の作品をいくつか。

 

『不連続殺人事件』坂口安吾、角川文庫)
発表当時は犯人当て小説であり、正解者はほとんどいなかったとされる。さすがに現代においてはそういう事はないかもしれないが。。。

 

『りら荘事件』鮎川哲也創元推理文庫
長く絶版だったのが不思議な本格ミステリの傑作。現場に残されたトランプの秘密がたまらないのですよ。

 

『11枚のとらんぷ)泡坂妻夫創元推理文庫
実際にも奇術の名手である著者がマジックをテーマに描いた渾身の傑作。今読んでも古臭くないのだ。

 

ちょっと古い作品が続いたので新本格以降の作品をいくつか。

 

十角館の殺人綾辻行人講談社文庫)
すべてはここから始まった。新本格時代を幕開けを飾る作品にして代表作。一行の衝撃があなたを襲う(笑)。

 

『生ける屍の死』山口雅也創元推理文庫
日本に突如現れた海外ミステリの匂い漂う傑作。ぜひ海外に輸出してほしい作品。

 

邪馬台国はどこですか』鯨統一郎創元推理文庫
いわゆる歴史ミステリー。その考証の真贋は別にしてユーモアがあってすごく読みやすい。こういうのもあるんですよ。

 

続いてそれ以外の名作を。

 

占星術殺人事件島田荘司講談社文庫)
社会派隆盛の中で突如現れた奇跡。破天荒なトリックはその後のパクリ論争を生んだ。。。(笑)

 

姑獲鳥の夏京極夏彦講談社文庫)
新本格を混沌の渦に巻き込んだ張本人(笑)。読みやすさでいえばほかの作品だが、シリーズものなのでこれを挙げるしかない。

 

最後に僕があまり読んでいない海外ミステリから(笑)。

 

シャーロック・ホームズの冒険コナン・ドイル光文社文庫
いまさら僕が挙げる必要もないけれど、挙げないわけにはいかないでしょ(笑)。

 

『八点鐘』モーリス・ルブラン新潮文庫
ホームズがきたらルパン。その中でもこれが一番好きです。ちなみに翻訳は堀口大学

 

そして誰もいなくなったアガサ・クリスティ、ハヤカワ文庫)
クリスティの中でも読みやすさはこれが高い気がする。本格としてはどうかなと思うも、ホラー的な恐ろしさもあるし。

 

まあ、こんな感じでいかがでしょう。
かなり思いつくままに選んだだので、後日読み返してみるとリストがガラリと変わってしまう気がしますし、ミステリファンから異論もでそうですが(笑)。
まあ少しでもミステリを読まれる参考になれば幸いでございます。