『ネコソギラジカル』上中下 (☆3.8) 著者:西尾維新

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「よう―俺の敵」“世界”を、そして“物語”を終わらせるため、「ぼく」こと“戯言遣いいーちゃん”に「狐面の男」はささやく。キーワードは、加速。そして、世界の終わり。何より、物語の終わり。待ち受ける刺客、"十三階段"の向こう側にある"終わり"の果てにあるものは―!?新青春エンタの決定版中の決定版、"戯言シリーズ"。その最終楽章となる『ネコソギラジカル』三部作の前奏曲がついに奏でられる!完全燃焼、西尾維新

「―諸手をあげて、喜べよ」人類の最終存在、橙なる種・想影真心を伴って、「僕」こと戯言遣いいーちゃんの前に「狐面の男」は現れる。バックノズル、ジェイルオルタナティブ…。"運命"の最悪の傍観者たる彼が唱える"世界の法則"は、この世の"真理"そのものなのか!?新青春エンタの決定版中の決定版、戯言シリーズ、その最終楽章となる『ネコソギラジカル』三部作、すべてが予測不可能な主題が激しく錯綜し旋律する、待望の中巻。

「生きている以上、世界の終わりを物語の終わりを、諦めることはできない」“人類最悪の遊び人”たる「狐面の男」は戯言遣いに断言する。玖渚友との決別。想影真心の暴走。そして、復活する哀川潤。シリーズすべてを貫く伏線の楽譜は絡まり合い、一気に奔流をはじめる!そして、そして、そして、そして、そして―ゼロ年代の小説界を駆け抜ける新青春エンタの決定版中の決定版"戯言シリーズ"、その最終楽章となる『ネコソギラジカル』三部作、ついに大団円。 


Amazon紹介より

(上)  十三階段
(中)  赤き征服 VS 橙なる種
(下)  青色サヴァン戯言遣い


前回早く返却されてくれ~と言ったら、速攻返ってきました。図書館サンクス!!
ということで、「戯言シリーズ」もいよいよ完結編、最後は同タイトルで3部作構成という形ですが、実質ひとつの小説としても読めるよな~。
区分けの感覚は、あの清涼院流水氏の「カーニバル」シリーズに近いのではと思わせます。

表紙を捲った途端に飛び込んでくる異常な数の登場人物表(蘭子シリーズなんて目じゃないです)に一瞬引きましたが、よ~く見ると過去の主な登場人物が全部載ってるって感じなだったのでほっとしました。

さてさて、上巻は前作登場したラスボスが対いーちゃん用に“十三階段”なる資格達を集め、対するいーちゃんも仲間を集めて全面戦争突入みたいな感じ。
ここにきて本格ミステリ要素は完全に取り払われるって感じですが、盛り上がる事は請け合いですね。
しかしまあこの“十三階段”がまた微妙な人たちが多いというか、それぞれキャラ立ちはしてるんですけどその能力の区別が非常につきにくいというか、意味ありげに登場したくせに瞬殺されてしまう人もいたりして、さすがの西尾維新もちょっとネタ詰まりみたいな気もします。

中巻になると、シリーズ中見え隠れした主人公を「いーちゃん」と呼ぶもう一人の人物の正体が登場、人類最強VS人類最終というなんだか凄い事になっちやいます。さらに死んだと思われてた人が再登場したりとまあある意味大団円直前の豪華な盛り上がりっていった感じです。
いーちゃんVSラスボスの戦いも、意外な形で収束されたりして結構予想外。

下巻は、一度は終わったはずの戦いが人類最終の暴走モード突入(ほとんどエヴァな字面ですが・・・)するし、“青色サヴァン”玖渚友といーちゃんの関係の謎が明らかになりつつも、人類最強VS人類最終の最終決戦がメインになるのかな~。

全体としては、なんだかいーちゃんの戯言のように取り合えず丸め込まれました~みたいな終わり方でした、すくなくとも僕には。
ただ、そこで丸込ませる為にシリーズ全体を通してキチンと世界を組み立てているので、物語を見失う事はなかったんじゃないかなとも思います。すくなくとも共感は出来なくとも理解は出来るみたいな思想ばっかりだったし、すくなくともきちんとした世界観は貫かれてると思いますよ。

まあ最後の大団円については多少の賛否両論はあるし、残った謎もなくはないと思うのですが、それは許容範囲内だとは思いますよ~。
少なくともJDCシリーズみたいに心から「なんでやねん!!」と怒ることはなかったっす。(ツッコミ的な「なんでやねん!!」はたくさんあったけど。)
そういう意味では、ひとつのシリーズ物としての完成度は凄く高いと思いますし、読んで損は無いと思います。

(2006.4.13 ブログ再録)