たいりょうのちょっと一息

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マリオネットの罠 著者:赤川次郎

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「私はガラスの人形と呼ばれていた」森の館に幽閉された薄倖の美少女、都会の空白に起こる連続殺人の現場に残される謎のナイフ。人間の輻輳する欲望を鮮かに描いた異色の長篇推理。 amazon紹介より
 

赤川次郎、普段ミステリーなど読まない人でも一度は読んだ事があるんじゃないでしょうか。そんな国民的知名度を誇る氏の作品の特徴としては、シンプルなストーリーと読み易さだと思います。そんな氏の本格ミステリーはどれが面白いの?という話題になった時に必ず名前が挙がるのが、『幽霊列車』『三毛猫ホームズの推理と並んでこの作品だと思います。

 前半は、冷徹なまでに殺人を重ねていく女性の姿と、ある洋館に住む姉妹へフランス語を教える為に訪れた青年が遭遇する不思議な出来事の描写が中心です。この二つのシークエンスは、前半の最後で結びつき、女性の正体も判明します。このあたりはフランス系ゴシック調(?)ともいうべき雰囲気がいい感じを出しています。

 一転して後半は、行方不明の青年を探すために、婚約者の女性が連続殺人犯を追う警察と協力して彼の足取りを追うといったサスペンス調の展開になります。麻薬の密輸入事件も絡み、事件の謎は一層混迷しつつも、終結に向けて進むあたりは、著者らしい軽快なテンポで非常に読みやすく、ハラハラします。

 そしてラストに明らかになる真相は、まさに本格ミステリーの名に相応しい快作です。

 量産作家という印象が強い著者ですが、本格ファンにも十分楽しめるんじゃないかと。ミステリの入門編としても最適ではないでしょうか。