『斜め屋敷の犯罪』 著者:島田荘司

イメージ 1

北海道の最北端、宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ西洋館。「流氷館」と名づけられたこの奇妙な館で、主人の浜本幸三郎がクリスマス・パーティを開いた夜、奇怪な密室殺人が起きる。招かれた人々の狂乱する中で、またもや次の惨劇が…。恐怖の連続密室殺人の謎に挑戦する名探偵・御手洗潔。本格推理名作。

amazon紹介より

伝説となった処女作に続く第2弾。これは作者にとってプレッシャーですよね。
とはいっても、発売当時は売れなかった訳ですから、どこまで気負っていらしたかは分かりませんが。
しかしながら、この2作目で島田荘司の名前は確実にミステリ史に残るであろう事を確信させられる、そんな出来です。

北の大地に立つ異形の建物で起こる、足跡の無い殺人、密室。
これに挑戦する御手洗、「このゴーレムが犯人です」。なんのこっちゃと思いながら、確実に真相を照らしていたのにびっくり。
というか、この作品では超能力でもあるんじゃないか、っていうぐらい真相の見抜き方が早いです。
普通もう少しかかるだろ(笑)

で、仕掛けかれたトリックのあまりの大掛かりさにはビックリ。でも、のちの作品群を見るとこんなのはまだ可愛い方だったと思い知る訳ですが。下手に書くと間違いなくバカミス系のトリックですが、なんだか設定と御手洗の存在感で、これもありなんだなと思ってしまいました。つうか、初読のときは、このトリックに拍手喝采を送ったもんね♪

でも、最大の疑問は犯人が殺人を犯すのにここまでしなくていいだろうと。
真相が明らかになった犯人の行動から考えると、さっさと殺しておけばいいじゃんとちょっと思ってしまいました。

あと、絵の謎は簡単すぎ。あれはもうちょっと工夫しないと、小説の面白さを削ぎかねない気がします。

でも、うん、面白いな。書かれた当時の本格ミステリの状況を考えると、偉大な作品でしょうね、やっぱり。


ストーリー2.0(格段に文章が上手くなってます。)
キャラ3.0(まだまだ御手洗の設定が固まってないか?)
トリック4.5(ある意味処女作のトリックより好きかも)

総合  4.0