『いつか、ふたりは二匹』(☆3.2) 著者:西澤保彦

f:id:tairyodon:20190320215157j:plain


菅野智己は母が再婚した四年生の頃、突続、眠りに就くことで猫の身体に乗り移れるという不思議な能力を持った。身体を借りている猫にジェニイという名前をつけ、巨大なセントバーナード犬のピーターと友達になった智己が六年生のとき、クラスメイトを含め三人の女子児童が襲撃されるという事件が発生し、一人が重態に。昨年秋に、同じく町内で起きた女子児童誘拐未遂事件の犯人と同一人物の仕業のようだ。被害者の共通点は、智己の義理の姉久美子さんが家庭教師だということ!智己はジェニイになって、ピーターとともに事件を調べることにした。 


Amazon紹介より

 

少年の意識が猫の乗り移る・・・この設定を見たときに、ああ西澤さんらしいなあと思いました(笑)。
まあ、こういう設定自体は珍しくもなんともないたぁ~思いますが、それでもねえ。

でも、猫の時と小学6年生の体の時との視点の書き分けはいい感じだし、なんとなくリアリティを感じてしまうのは、もしかしたら西澤さんも・・・な訳ないですね。

内容自体はジュブナイルとしては結構ハードな気がします。
サイコキラーに狙われる小学生、動物虐待、子供特有の残酷な心理描写。
今現在どのジュブナイルの世界では、どういった表現が主流なのか、っていうのをまったく知らないので、どこまで書いていいものなのか、っていう判断はつきかねますが、実際は子供っていうのは大人が思うほど甘くはないっていうのも真実だと思うわけで、これはこれでありなのかな~。

事件そのものは、ある程度犯人は明らかだし、そんなに難しくしてないので分かりやすいと思います。
文章もさらっと書いてあるし、特に理由も無く猫と人間が入れ替わるっていうのも、まあなんとなくいいんじゃないか、と納得しちゃってる自分がいるので(西澤マジック?)、よしとしましょう。
タイトルが露骨なので、なんとなく仕掛けが分かるのはなんですが。

クライマックスあたりの展開はちょっとドーンとしないわけじゃないですが、それでも最後は心に残る感じには仕上がってるので、これなら子供に勧めてもよいのかな?
個人的には、西澤さんらしくあり、ハートウォーミングあり、という感じで、それなりに満足満足。
でも、なぜこの表紙???

それにしても、猫のブーメランジャンプは1回見てみたいぞ~!!

(2006.5.14 ブログ再録)