たいりょうのちょっと一息

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『時の密室』(☆3.5) 著者: 芦辺拓

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明治政府の雇われ技師エッセルは、謎の館で偶然死体を発見するが、その後死体は消失した。昭和45年、医大生氷倉は河底トンネルで、そこにいるはずのない友人の刺殺体に遭遇した。そして今"路上の密室"事件を追う森江春策の前に、明治・昭和の未解決事件が甦る!'01年本格ミステリ・ベスト10第2位に輝く傑作。


Amazon紹介より

正直なところ、芦辺さんと探偵森江春策にとって僕はいい読者じゃありません。前半部分で提示される謎に魅力を感じることは多いのですが、解決部分におけるトリックや動機に不満を感じてしまうことが多いのです。

そんな印象の中、芦辺さんの代表作の一つとされるこの作品を読んでみたのですが、これが非常におもしろかった。
明治、昭和40年代、そして現在で登場する密室。しかもそのすべてがいわゆる開空間の中での密室という、結構珍しいんじゃないかと思う構成であり、それぞれが上手く絡まって展開する手法は結構ドキドキします。
また、過去と現在が入れ替わり立ち代り描かれている構造も、芦辺さんの文章が比較的あっさりしているおかげで、すんなり読めました。

密室のトリックそのものは、ちょっと拍子抜けの感がなきにしもあらずですし、明治時代に起こったとされるい事件に対する解決は疑問を感じましたが、小説自体に組み込まれた作者の罠と、真犯人の設定は結構僕好みでした。

とりあえず、もう少し芦辺作品を読んでみようと思える出来だと思います。

(2006.2.15 ブログ再録)