良心の呵責を覚えることなく、自分にとって邪魔な者たちを日常的に何人も殺してきたサイコパスの辣腕弁護士・二宮彰。ある日、彼が仕事を終えてマンションに帰ってくると、突如「怪物マスク」を被った男に襲撃され、斧で頭を割られかけた。九死に一生を得た二宮は、男を探し出して復讐することを誓う。一方そのころ、頭部を開いて脳みそを持ち去る連続猟奇殺人が世間を賑わしていた。すべての発端は、二十六年前起きた「静岡児童連続誘拐殺人事件」に・・・。 裏表紙より
第17回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。
サイコパスが主人公というのは最近増えてきましたが、この小説を読んでいて思い出すのは、それらの先行作品よりも浦沢直樹「MONSTER」。
どうしてそっちを思い出すかというと、「MONSTER」で主人公が追い続けるサイコパス(といって良いかわかりませんが)を形成するパーツとして一冊の絵本「名前のない怪物」が登場しますが、この小説でも犯人が被っているマスクの怪物が登場する映画「怪物の木こり」が、主人公の二宮に啓示を与えるアイテムとして登場します。
どうしてそっちを思い出すかというと、「MONSTER」で主人公が追い続けるサイコパス(といって良いかわかりませんが)を形成するパーツとして一冊の絵本「名前のない怪物」が登場しますが、この小説でも犯人が被っているマスクの怪物が登場する映画「怪物の木こり」が、主人公の二宮に啓示を与えるアイテムとして登場します。
と部分的な類似点はあるものの、作品としてのクオリティは気になるところが多いです。
主人公が弁護士という設定ですが、特に弁護士の活動をしている場面がないので、サイコパスでありながら弁護士という設定のギャップが活きてないように思います。読む前はこの設定がどうなるのか、と思ってたのでちょっと残念。
主人公が弁護士という設定ですが、特に弁護士の活動をしている場面がないので、サイコパスでありながら弁護士という設定のギャップが活きてないように思います。読む前はこの設定がどうなるのか、と思ってたのでちょっと残念。
怪物の仮面を被って人を襲うというのも、ある意味漫画的。もちろん推理小説はある意味非現実的なところもあるのでそれはそれでありだとは思いますが、なぜ・・・という部分での説得力が・・・。そこはなんとなくでももう少し練り込んでほしかったですね、
全体的にいろいろな設定が散りばめられてものがうまく噛み合ってない感じ。その部分を補うために、セリフや行間で説明をしちゃうところも気になる、でも読むのがしんどくなる・・まではいかないのは根本のストーリーそのものは一本道だからでしょか。
ミステリ的にみると、途中で連続猟奇殺人の動機そのもは察しがつきますが、犯人が誰かというところについては、意外と騙されるかもしれない、うまくミスリードしてるかなという感じです。
素材としては面白し、ミステリとしては見るべきところもあるかなとは思うのですが、どこか既出の小説のいいところを取り込もうとして調理しきれなかったかなというところでしょうか。
採点 | ☆2.8 |