邦画『東京喰種』(2017 日本映画)

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水とコーヒーと人体だけを取り込むという人間の姿をした怪人・喰種が東京の街に紛れ、人々は恐れを抱いていた。そんな中、平凡な大学生のカネキ(窪田正孝)は事故に遭ってしまう。知人の少女リゼの臓器を移植して死を免れるが、それが原因で半喰種となったカネキは、頻繁に足を運んでいた喫茶店あんていくで働くことになる。そしてカネキは、アルバイトの女子高生トーカ(清水富美加)や、店に集まる客が喰種だと知り……。

* 監督 - 萩原健太郎[23]
* 脚本 - 楠野一郎
* 原作 - 石田スイ『東京喰種トーキョーグール』(集英社週刊ヤングジャンプ』連載)

* 窪田正孝
* 清水富美加
* 鈴木伸之
* 桜田ひより
* 蒼井優
* 大泉洋
* 村井國夫



 原作のマンガは未読。何かの本(メディア?)で、主人公は人と喰種の合いの子(?)みたいな感じという事だけはなんとなく知ってたんですが、なるほど合いの子ではなく内蔵を移植されたんですね。
 原作ではどうか知りませんが、映画では尺の関係もあるのか、移植の場面はサラッと流されてました。その過程も含めて主人公のカネキ、可哀想ですよね〜、なんの理由もなく知らないうちに半人半獣の体になって、コーヒーと水、人肉以外は不味くて食べられなくなるわけですからね〜。

 序盤、喰種対策室(CCG)の役割がわかるあたりまではストーリーを追うのに少し混乱してましたが、それ以降はストーリーを追うのはそこまで苦労しませんでした。映画におけるテーマとしては、喰種と人間の捕食関係の正当性、お互いが生きるために殺し合うのを正当化出来るのかという所なんだろうと思います。おそらく原作ではもっと突っ込んで描かれてるのだろうと思いますが、映画ではその葛藤の部分をほぼ主人公カネキを演じる窪田正孝の演技に託してます。
 
 まあ、彼の演技は素晴らしいというか狂気というか。序盤の地味な青年から半人半獣のような存在になってしまっての葛藤、尋常でない空腹のために傷ついた人間の友人を食べようとする場面など、狂気と正気を行き来するカネキの葛藤の全てを演技で表してくれてたと思います。
 他の役者、カネキを半人半獣にするキッカケを作ったリゼを振り幅の大きい演技で魅せた蒼井優、狂気の淵からカネキを救い出したトーカ役の清水富美加もやっぱり千眼美子になったのが勿体無いなぁと思わせるハードボイルド演技。CCG側を演じた大泉洋も、いつもと違い飄々としたなかにも狂気と紙一重の使命感を感じさせてくれて好きでした。

 ただ、役者陣の奮闘に較べると演出の出来がなぁというのか一番残念なところ。CGの出来については十分とは言えないかもしれませんが、そこまで酷いとは思いませんでした。むしろバトルシーンでのスピード感が目に見えて遅い・・・。もしかしたらリアルなスピード感かもしれませんが、映画的に魅せるにしては遅く感じるのはマイナスだと思います。打撃の重さも感じないですしね。
 アクションのスピードをみせるというよりも、戦ってますよと説明する感じのカット割りになってるんでしょうねぇ、引きの画が多く感じたし。

 同じキャストで続編を作るとしたらそれはありだと思いますが、監督だけはチェンジしてほしいかも・・・。あ、でも清水富美加が絶対でないだろうな・・・・。