邦画『PARKS』(2017 日本)

イメージ 1

吉祥寺で一人暮らしをする大学生の純(橋本愛)は、今は亡き彼女の父親の恋人だった佐知子(石橋静河)という女性を捜している高校生ハル(永野芽郁)に出会う。彼女と共に佐知子の行方を追うと、その孫トキオ(染谷将太)に遭遇。佐知子の遺品であるオープンリールテープを再生すると、彼女とハルの父・晋平(森岡龍)の歌声が。途中までしか録音されていないその曲を完成させようと純たちは奔走する。

監督・脚本・編集:瀬田なつき

吉永純:橋本愛
木下ハル:永野芽郁
小田倉トキオ:染谷将太
山口佐知子:石橋静河
晋平:森岡龍
井上教授:佐野史郎
健太:柾木玲弥



なんか不思議だけど印象に残った映画。

振られたばかりの女子大生・純の部屋に突然訪れた少女・ハル。彼女は父親の昔の恋人を探していて、純の住んでいる部屋は父の恋人が住んでいた部屋だった。恋人探しをする純は、そこで偶然知り合ったトキオとバンドを組むことになる。

井の頭恩賜公園開園100周年記念映画。
過去の恋愛と、現代の若者のもどかしさを繋ぐのは、未完成の歌、そして音楽。1
劇中の音楽も良いし公園の中で聞こえる音それぞれが音楽を奏でてるような録音もいい。だから、劇中3人が公園の様々な音を集めて廻るシーンが素敵だ。

その対比としての、未完成の歌を完成させた劇中バンドの唄。現代ぽくってかっこいいけど、ハルがなんか好きじゃないという感想に素直に頷ける。

それぞれに夢や希望を持ちながら立ち止まってる主人公達が未完成の唄を通して成長していく物語かと思っていると、途中から一気にファンタジーになっていく。
この展開を有りとするか無しとするかで、評価が分かれてくると思うけど、個人的には有り。

ストーリー的に理解出来たかというと分からない部分も多いけど、それはそれで良いじゃないか、というちょっと邦画っぽくない雰囲気があった。

現実とファンタジーが交差する中で、その橋渡し役としてのハルの存在が秀逸。演じた永野芽郁が、彼女の現代的とも昭和っぽいともいえる不思議な存在感で、軽々と現実とファンタジーを行き交っているのが印象的だった。

また、純を演じた橋本愛も、普段はその彫刻的な美貌がときにどこか浮世離れしてる時もあったけれど、冒頭の自転車で駆け抜けるシーン、どこかかっこ悪い走り方、照れながらもバンドで唄ったりと等身大の女子大生として物語の中心に静かに存在していた。

バント活動を夢見るトキオ役、染谷将太の芸達者ぶりはこの作品でも安定しているし、ラップも板についていた。

なにより現代の三人に恋愛の要素を感じさせなかったのは、結果として良かったと思う。三角関係とは言わなくても、純とトキオの間にそれを伺わせるものが出過ぎてしまったら、ハルがただの恋のキューピット役どまりになって、後半の展開がなお不細工な物になってたと思う。

井の頭恩賜公園記念映画だけれども、公園を無理に強調させることなく、誰かが偶然に出会い、すれ違う場所としての普遍性の象徴としての舞台の役割に抑えており、時を流れても誰もが過ごす場所として存在していた。

たぶん、ふとした時に思い出す。自分にとってはそんな映画になりそうだ。

最後に、やっぱり永野芽郁はかわいいぞ・・・。