映画『狂覗』

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中学生教師が瀕死の状態で発見された。犯人は、同校の学生である可能性が高い。責任を押し付けられた科学教師の森は、中学生の現状を把握する必要があると、抜き打ち荷物検査を計画する。抜き打ちといっても、普通の抜き打ち荷物検査ではない。生徒の立ち合いなし。生徒が体育の授業で教室不在の間を狙って行う秘密裏の荷物検査だ。招集されたのは、3人の教師。そしてもうひとり。国語教諭の谷野だ。谷野は森の中学の頃の教え子。教師になってから事故をおこし、教職から遠ざかっていた谷野だが、森の手によって職場復帰を果たしていた。こうして5人の教師による荷物検査が開始した。しかし、そんな荷物検査は、中学生の現状を露にすると共に、彼ら教師の実態をも明らかにしていく…。そして更には、万田という少女の存在が明らかになっていく。中学生を牛耳る化け物ともいえる存在の生徒。それは容姿端麗で才女な女子生徒だった…。



監督・脚本	藤井秀剛
原案	宮沢章夫
原作	14歳の国(白水社)
製作	POP

出演者	
杉山樹志、田中大貴、宮下純、桂弘、坂井貴子

無名の役者が活躍する場を作る為に、自らもスタッフも役者もする制作集団によるプロジェクト。

映画の出来云々より前に、頑張って欲しいと素直に思います。

で、映画。
半死半生の教師が発見されたのをきっかけに、無断であるクラスの手荷物検査を教師たち。生徒たちの隠された秘密を探り出すつもりが、暴かれたのは教師たちの抱えた本性だった・・。

原案の本も実話(?)的な部分の予備知識も無しに観ましたが、なるほど、今の時代こういう事も非現実じゃないんだろうな~と勝手に思いました。

映画の主題である中学生のリアルを、その中学生をほぼ移さず教師たちの会話と小道具だけで表現している。予算的にも厳しかったろう想像できる中での工夫だと思うし、その事で教師たちの会話劇は保身と自分を守るため、生徒をレッテル化し都合のよい解釈を振り回す感じが生々しく伝わってきます。

ただ、映画の重要なパーツである教師・谷野の過去のトラウマの部分が最初から頻繁に描かれるので、最後までただのおかしい教師にしか見えないのはちょっと勿体無いなぁ。

また、映画の演出や撮影にもすこし引っかかりました。
過去に引きずられる教師・谷野のトラウマが現実を侵食するあたりなどは低予算ゆえの工夫がみられるけれど、普通の会話シーンのカット(特に切り返し)の繋ぎが荒いのと、アテレコ部分の違和感(口の動きというよりも、音のバランス的なところ)が勿体無いなぁと。
後半会話劇の要素が強くなってくると、あまり気にならなくなるんですけどね。

低予算ながら、イジメであったり淫行問題であったり、現在の社会が抱える闇を描いたある意味問題作だと思いますが、それだけにラストの展開は勿体無いと思う人もいるだろうなぁ、、、。