『本格力』(☆5.0)  著者:喜国雅彦・国樹由香

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どのページを開いても、本格愛、本棚探偵への愛に溢れた一冊。
本書を読める幸せを享受しないなんてもったいないです。――辻村深月

本格ミステリ誕生175年目の衝撃!
日本推理作家賞受賞作家が放つ
今まで見たことのないブックガイド!!

○本当にお薦めしたい古典ミステリを選ぶ「H-1グランプリ」
○読んで書いて覚える「エンピツでなぞる美しいミステリ」
○本棚探偵が街で見つけた謎「ミステリの風景」
○みすを名言・格言集「ほんかくだもの」
○名作をイラストで紹介「勝手に挿絵」
○喜国雅彦の本を楽しむ姿を描く「国樹由香の本棚探偵の日常」

蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲
(「エンピツでなぞる美しいミステリ」コーナーより)


私が『メフィスト』を買うたび、毎回真っ先に読んでいたのが
喜国さん由香さんのこの連載でした。

喜国さんの「本格力」に唸り、笑って、勉強させてもらいながら
(何度もなぞりましたとも!)、
由香さんが見守る「本棚探偵の日常」にときめいたり、にやにやしたり、
涙したり。
何かを失う悲しい涙ではなくて、幸せすぎて涙が出るような、
そういう本格への愛、本棚探偵への愛が、どのページにも詰まっています。
お二人からのこの愛と想いが、皆さんのもとにもどうか届きますように。(辻村深月)


Amazon紹介より

 いつも、本や映画の粗筋はおもにamazonさんから引用する事が多いのですが、その中でも今作の紹介文はヒジョーに長い!!(笑)そして熱い!!(笑)紹介文にある、「蟲」の連発なんて、それだけだったらまったく意味が分からないのに、本格ファンには乱歩の顔が絶対浮かんでくるはず。そして、蟲で埋め尽くされたページの隣にはそれに負けないぐらい喜国さんの熱い解説(叫び?)が。

 そしてメインの企画であり、メフィストで連載していたらしい「H-1グランプリ」。坂東善(ばんどうぜん)博士と女子高生りこちゃんによる変態・・・もとい、本格談義。お題は名作と言われる古典を中心に、海外作品を幅広く取り上げてます。どちらかというと海外作品には疎い私でも知っている名作中の名作から、多分有名であろう作品まで、読了未読入り混じってましたが、ネタバレ無し(若干ヒントチックなものもありましたが)なので安心して読めました。
 なにより、博士とりこちゃんの主観による感想合戦、クイーンだろうがカーだろうがクリスティだろうが容赦なし?、批判するのがとても恐れ多いあの作品やらこの作品やらをバッサリ切ってくれちゃってます。その批判的なコメントが結構言えなかった読者の思いを代弁しちゃってるんじゃないと賞賛したくなる部分もあるし、その批判の裏には溢れ出んばかりの本格への愛が感じ取れます。今までこんなに愛の溢れるアンチコメントがあったでしょうか。

 メインの批評企画以外にも、思わずニヤリとするネタばかりですが、その中でも喜国さんの愛妻であり漫画家の国樹由香さんのエッセイ「国樹由香の本棚探偵の日常」が秀逸すぎです。本棚探偵の可愛らしすぎる日常の風景、そして夫妻の飼っている愛犬達を巡る涙無しで読むことができない物語。国樹さんの家族愛溢れる文章は、もうこれだけで一冊の本になりそう。

 決まったフォーマットの連載なので、一気に読むと、どうしても構成が似てるな~と感じなくもない。でも問題ない。だったら少しずつ読んだら良いのさ。
 どこを切ってもお得感満載、こんな本☆満点にする以外ないでしょ~~~♪




採点  ☆5.0