映画『ミュージアム』  監督:大友啓史

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あらすじ

 過激な描写と緊迫のストーリー展開で人気を博す巴亮介の人気サイコスリラー漫画を、これが初タッグとなる小栗旬主演×大友啓史監督により実写映画化。
 雨の日だけに起こる猟奇殺人事件を追う刑事の沢村久志。犯行現場に残された謎のメモや、見つけられることを前提としたかのような死体から、カエルのマスクを被った犯人像が浮かび上がる。通称・カエル男と呼ばれるようになった犯人を追い詰めていく沢村だったが、カエル男の仕組んだ残酷な罠にはまり、絶望的な状況に追い込まれてしまう。
 主人公・沢村役の小栗、沢村の妻を演じる尾野真千子はじめ、野村周平大森南朋ら豪華キャストが共演。


多分、この秋~冬の日本映画の話題作のひとつだと思う。実際に結構な豪華キャストに、監督も大友啓史という事でかなり期待して鑑賞。

 とその前に原作にも。ヤンマガで連載された巴亮介の作品。映画の前に読んだけれども、中々にエグい。拘束された状態で生きたまま犬に喰い殺されたり、自分の出生体重分肉を糸鋸で切り取られたり・・・。
 なぜ犯人がこんな残虐な殺人を行うのか、その正体は・・という漫画だけれども、意外と早くその動機は分かるし、犯人の正体についても読者が想像するのは少しむずかしい。むしろその異常性に取り込まれそうになっていく刑事の姿が作品のキモだと思うのだけれでも、物語の終わり方に関しては少し残念な感じだった。作者としてはもっとダークな終わり方を予定してたらしいけれども・・・。

 さて、こんな漫画をどう実写化するのかと思ったら、想像以上にストレートに映像化されてました。冒頭から犬に喰われた死体の描写。グロい・・。大友監督の『るろうに剣心』も想像以上に漫画のイメージを上手く処理してたし、さすがな感じです。妻に逃げられた主人公を演じる小栗旬、荒んでも二枚目感は消せないけれども、仕事人間っぷりは伝わってきます。仕事と家庭の狭間で選択を迫られていくというのは映画でも肝の一つ、キャスティングの妙もあってかジリジリとした主人公の苦悩が伝わってくる。
 一方で連続殺人事件の犯人、カエル男。漫画ではまんまカエルの被り物をして主人公の前に登場してましたが、映画でもそのフォルムを忠実に再現。うーん、実際にリアルな表現をされると、これまたインパクトが強烈。あんなもの被って人混みに現れるんだから、ほんとなら即通報されそうですが。。。映画途中からは被り物を取ったカエル男のビジュアルもありますが、いやぁこれまた見事に漫画のままのビジュアル。演じた妻夫木聡の面影は何処にもありません。

 そんなこんなで、漫画を忠実に再現しつつ、生身の人間が演じることによって漫画以上に熱さとグロさを見せてくれて、原作ファンもほとんど納得の出来なのでは?ただ、数少ない原作と設定が違った市川実日子の役、ここは設定を変える必要があったのか?とは思いました。漫画とは違うラストへの伏線にはなってますが、あまり活きてなかったかな~。でもラストの終わり方は、漫画版より好きだったかも。

 グロさもあるので少し好みは分かれるかもしれないけど、スリラー系エンタテイメントとしては十分の完成度だと思うし、大友監督の勢いも感じました。次回作は180度世界観が変わる「三月のライオン」。あちらも非常に楽しみですねぇ。