『QED ~flumen~月夜見』(☆3.0)  著者:高田崇史

イメージ 1

まずはあらすじ。

 京都・月読神社で女性の絞殺死体が発見される。翌朝、近隣の松尾大社では女性の兄の死体が鳥居に吊される。事件を取材する小松崎良平は、桑原崇と棚旗奈々が一泊旅行で京都にいると知り、強引に合流する。
 記紀最大の謎とされる月読命の真の姿とは? 渡来人技術集団・秦氏の悲劇とは? 崇の推理が冴えわたる待望のQED新作。

Amazon紹介より

 11月に入り、9年18万キロの間乗り続けた愛車を断念し、新車購入の手続き。さらには本が有りすぎて、木造2階の我が部屋からミシミシと音がし始め、熟考の末、流行り(?)の断捨離を結構。今までのコレクション(?)を泣く泣く売却。部屋には厳選(?)した本とDVDが残るのみとなってしまいました。

 そんな断捨離中にも関わらず、本屋によるとやっぱり新刊コーナーに目がいきます。
 そこで見つけたこの新刊、

出るんかい!!

 これが本屋で見つけた最初の感想。壮大なんだかよく分からなくなってきた『神の時空』シリーズもまだ未完結なのに、こっち出ますか???『ホームズ』で終わりじゃなかったんか???そしてパラパラめくってみると、

段組が一段になってる!!

 このシリーズのノベルズ版は二段組で出てたので、めくっているとなんだか別のシリーズな気がします。なんだか残念。というか、『QED』『カンナ』『神の時空』であらかた重要なところは抑えてる、中にはシリーズを跨って登場する神社(貴船とか)も多いわけで、『毒草師』もいれたら、もうネタが無いと思ってたのですが、

月読命か!!

 そういや「天照」や「天照大御神」、「スサノオ」「饒速日」「大国主命」はいろんな所で登場(だいたい怨霊神だったりするのだが)してたけど、月読命はほぼ初めてかも。確かに古事記での同じ場面で登場する天照大御神素盞嗚命に比べてると、この後はほぼ全く登場しない。主祭神として祀られている神社もポンと出てこない謎の神様なんですよね~。多分他の二神に比べて関連本も少ないし、参考文献もいつもの本(古事記やら日本書紀やら隠語大辞典やら)だけで月読関係の名前はありませんでした。
 そんな月読の謎については、ほうほう、と個人的には納得した感じ。言われてみれば、なるほどそう考えると疑問に感じるな、そしてその答えならすっきりするな、と思えました。
 まぁ、そこに至るまでにおなじみの「タタラ」「河童」「製鉄「ほと」のフレーズ連発。タタルさんの薀蓄も、相手の奈々ちゃんがすでに知識を持っている前提なので、専門的すぎることこの上ない。そういう意味ではやっぱり『毒草師』シリーズの西田くんの存在は偉大なんだな~。

 2人の中も、伊勢であんなことがあって、さらには「カルデザック」での道のりの中で、ウフフな展開もあったにも関わらず、いっそ変わっとりません。せっかくの京都二人旅でも最初から諦めの境地です。せっかくツインの部屋に2人で泊まることになったのになぁ・・・。なんかもう、
なんとかしてくれ!!

 あ、肝心(?)の事件の方ですか?えっと、まずタタルさん、殆ど関わりません。いよいよ最後の最後でやっとこさ事件に関わるので、なんだか萌えないです。というより、事件の動機が特殊なので、関わらなくても多分事件は勝手に終わってしまうというか。実際にタタルさん、謎は解いても解決はしてないからなぁ~~~。

 他のシリーズも勧めているせいか、「QED」シリーズっていう匂いが今回の作品にはなかったかな。単純にミステリを読みたいと思ってる人にはちょっとオススメしにくいかなぁ。

 




採点  ☆3.0