『LEAK〜 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』(☆2.6)  著者:内藤了

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まずはあらすじ。

 正月の秋葉原で見つかった不可思議な死体。不自然に重たいその体内には、大量の小銭や紙幣が詰め込まれていた。連続して同様の死体が発見されるが、被害者の共通点は見つからない。
 藤堂比奈子ら「猟奇犯罪捜査班」の面々は、警視庁の合同捜査本部でその「リッチマン殺人事件」に取り組むことに。そこに比奈子宛の怪しい電話が入り…。
 現代社会の闇が猟奇的殺人と共鳴する、新しいタイプのヒロインが大活躍の警察小説、第4弾。

徳間文庫あらすじより

 猟奇犯罪捜査官・藤堂比奈子シリーズ第4弾。ドラマの方では前作「AID」よりもこちらの方が先の方のエピソードになってます。理由はまだ見てないのでわかりませんが。

 今回も死体としてはえげつないですな。なにしろ、体内に詰め込まれた硬貨や紙幣、死後入れられたんじゃなく、生きてるうちに挿入。ということで、死因は硬貨の詰め過ぎによる内臓破裂やら、硬貨による窒息死。まったく想像したくない殺され方。シリーズ一作目の喉にたくさんキャンディをつめ込まれた女の子と同じぐらい嫌な感じです。しかもそんな死体が何個も出てくる訳で、そりゃあ犯人もリッチマンと呼ばれますわ。
 そこからの展開はいつものお約束。地道な調査によって集められた証拠品や資料、証言を元にプロファイリングと比奈子の直感で犯罪の猟奇性の裏に隠された事件の真相が暴かれます。

 個人的にこのシリーズ、意外とプロファイリングの重要性が薄い気がするのですが(プロファイリングが無くても証拠・証言で犯人を挙げれなくもないのでは)、今作はその要素がより強くなっている気がします。事件に関する関係者の登場の仕方がある意味テンプレート化していて、登場した瞬間に「ああ、怪しいぞ、この人」と思ったら・・やっぱりその人でした、って感じなのですが、今回もご多分に漏れずそのパターン。しかも、事件の様相やエピソードの内容からして、動機なんかも比較的わかりやすく、そういった意味ではミステリー要素も今までのシリーズの中で一番弱いかな。

 あらすじでは「現代社会の闇が猟奇的殺人と共鳴する」と謳ってますが、確かにこれもシリーズ全般を通して描かれる共通のテーマなのかな、と思います。実際、殺人方法を除けば、今回の事件が一番本当に起こりそうな気がします。ただ副題が猟奇犯罪捜査官となってるので、猟奇犯罪に傾倒してしまう犯人の心理を描かないといけないという縛り(?)があるのかな、今回はその部分もかなり無理やり詰め込んだかなという印象。
 ということで、シリーズの中では完成度は落ちるかな〜と思います。ただ、ラストでの次回予告的なエピローグの挿入。うーむ、これはとりあえず読み続けてみましょうか。。。
 



採点  ☆2.6