『黒死荘の殺人』(☆3.0) 著者:カーター・ディクスン

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まずはあらすじ。

 曰く付きの屋敷で夜を明かすことにした私が蝋燭の灯りで古の手紙を読み不気味な雰囲気に浸っていた時、突如鳴り響いた鐘―それが事件の幕開けだった。
 鎖された石室で惨たらしく命を散らした謎多き男。誰が如何にして手を下したのか。幽明の境を往還する事件に秩序をもたらすは陸軍省のマイクロフト、ヘンリ・メリヴェール卿。
ディクスン名義屈指の傑作、創元推理文庫に登場。

Amazon用あらすじより

 最近の新訳ブームの中で、カーの作品もぼちぼちと新訳が発表されている。正直カーは翻訳が苦手でマイナーどころだけでなく、メジャーどころも殆ど読んでいない。『皇帝のかぎ煙草入れ』もそうだったけれども、この作品もその一つ。

 いかにもおどろおどろしいハッタリの効いた描写、いかにもカーのイメージそのまま。多分新訳に当たって結構スッキリさせてあるんだろうけれども、やっぱり個人的に読みにくいと思ってしまった。とにかく細かい部分がどうにもイメージが湧きにくく、特に館の構造やら何やらは途中で理解するのを諦めてしまいました(笑)。うーむ、やっぱりカーはカーなのかもしれない。。

 そしてH・M卿です。正直昔はH・M卿とフェル博士が同一人物だちばっかり思ってました。今は当然違う人物だと知ってるけれども、名前を隠されたら多分僕には区別がつきません。だっていろんな個性が似てる気がしませんか?あまり記憶がないですが、バンコランはそうでもないと思うんですけが、この二人だけは・・・。

 ストーリーそのものは至ってシンプルな方だと思う殺害現場のいかにもなハッタリはさすがそれっぽいけれども、容疑者になりそうな人はあんまりいないしな~・・・と思ってたら一番ハッタリが効いてたのが密室トリックと犯人でした^^;;

 トリックのネタは正直ネタばらし本で知ってはいたんだけれども、この小説のネタだったんですね。実際にこのトリックどうよ?と言われると、非常に微妙な気もするんですが、伏線自体はしっかり張ってる(特に短剣のくだり)から、それでもなんとなく納得してしまうのは、やっぱりカーの個性の賜物でしょうか。ただ犯人に関しては、伏線自体は張ってるけれども、それでもちょっと無理がないか?と思うのですが。。。

 とにかくある意味カーのイメージの典型的な作品だと思うし、カーが大好物な人は好きなのかな、と思うけれどもやっぱり翻訳が読みにくいなぁ。でもカーの新訳は一応全部買ってあるしな~、勢いが乗ったら今度はバンコランに挑戦してみよう。。。

採点  ☆3.0