『劇場霊』 監督：中田秀夫

あらすじ

　芸能事務所に入って５年、未だに役に恵まれない若手女優・水樹沙羅（島崎遥香）は、気鋭の演出家・錦野豪太（小市慢太郎）の新作舞台に端役で出演することに。演目は、和歌を保つため少女の生き血を浴びていた実在の女貴族エリザベートの生涯を描く「鮮血の呼び声」。舞台にはエリザベートの内面を映し出す分身の人形が置かれ、その前で沙羅や主演の篠原葵（高田里穂）、野村香織（足立梨花）らは火花を散らしながら連日稽古に打ち込んでいた。そんなある日、劇場でスタッフの女性が変死体で発見される。その直後、今度は葵が転落事故で意識不明の重体に。
　葵の降板を受け、沙羅は急遽主演に抜擢される。ところが稽古中に、沙羅は舞台に置かれた人形が動き出すのを目撃。果たして目の錯覚か、それとも・・。劇場にただならぬ気配を感じとった沙羅と美術スタッフの和泉（町田啓太）は、人形を制作した作家・児島（中村育二）を訪ねる。ところがその頃、劇場ではこの世のものとは思えない「ちょうだい・・・ちょうだい・・」という声が響き渡り、新たな惨劇が巻き起こっていた。。

 	
スタッフ

監督
中田秀夫

　
キャスト

島崎遥香
足立梨花
高田里穂
町田啓太（劇団EXILE）
中村育二
小市慢太郎

ホラー好きとして、劇場で予告編を見て気になってた映画。
中田秀夫といえば、「女優霊」「リング」で一世を風靡したホラー畑の映画監督。
ただここ何年かで見た「インシテミル」や「クロユリ団地」が残念な出来だったからそこだけが少し気になる。
「クロユリ団地」も予告編は面白そうだったし、同じAKB48の前田敦子が主演だったのも被るし・・・。

　冒頭、少し時代がかった謎の殺害シーンから始まり、その後いきなりぱるるが端役で出演する映画の撮影風景に場面転換するから、てっきり映画のワンシーンかと思ったら、そうでもないらしい。
　劇場のシーンに移ってからは、次々と不思議な事件が起こっていくのだが、割と早めに悪霊（？）の正体（？？）が姿を見せてくれてます。ううむ、タイトルが示す通り、「女優霊」への回帰を謳ってたと思うんですが、「女優霊」はどちらかというと不安を積み重ねていく演出だったと思うので、むしろ逆方向の怖さ思考のような気がしてしまいます。

　その後色々事件が起こる中でその原因を突き止めるべく映画が展開していくなかで、オープニングのシーンの意味が判明。なんと冒頭のシーンが何のひねりもなく事件の遠因でした。ということで、結局ネタバラシからこの映画が始まってることがわかるのですが、この方法が映画の中で活きているかというと、余りに捻りがなかったので、そんなに効果は無かった気が。逆にクライマックスの導入部分として、冒頭に置かずにここで初めて明らかにしてもよかったんじゃあ・・。

　そして正体がわかった頃には、劇場の中ではもう大惨劇が起こります。もうこの惨劇の無差別っぷりが「呪怨」シリーズの伽?塩子さんばりですごい。まぁ、家に一歩でも足を踏み入れた人はどこまでも出張して殺しちゃう伽?塩子さんに比べれば、出張しないこちらの悪霊さんは控えめなのかもしれませんが・・。
　ラストのエピローグなんかはもはやホラーの王道のような気がします。

　さて見終わってみると、なんだろう、怖かったかと言われると怖く無かった。ものすごく王道な物語なだけに、ネタを早めに割りつつ捻りの少ない展開は、なんだか、ネタの分かったるお化け屋敷を見させられてる感じ、と言ったらいいでしょうか。

　ぱるるの演技が上手いかどうかはよくわからないけど、少なくとも「マジスカ学園３」の時よりはハマってる気がする。
（あれは第１話しかみていないけど、なかなかきつかったからなぁ・・。）
　この映画で何が一番怖かったったって、ぱるるの恐怖顔だったとおもいます。もしかしたら、久しぶりのホラー女優の誕生かもしれません（将来そんなにホラーにでるとは思いませんが）。でも、印象に残ったのはむしろ足立梨花だったりするんですけどね。