『20世紀少年』  監督:堤幸彦

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 1969年。小学生のケンヂは、同級生の仲間たちと原っぱに秘密基地を作り遊んでいた。彼らは、20世紀の終わりに人類滅亡を企む悪の組織とそれを阻止 する正義の味方といった物語を空想しては、それを“よげんの書”に書き記し、楽しんでいた。1997年。大人となったケンヂはコンビニを経営しながら、失 踪した姉キリコの赤ん坊カンナの面倒を見ていた。その頃、巷では謎の教団を率いる正体不明の教祖“ともだち”が出現、各地で不穏な事件が起き始める。やが てそれが少年時代の“よげんの書”にそっくりなことに気づくケンヂ。20世紀の終わりが迫る中、ついにケンヂはかつての仲間たちと共に人類滅亡の阻止に立 ち上がるのだったが…。
(「第1章 終わりの始まり」)

 2000年に起こった“血のおおみそか”から15年、いまや“ともだち”は、悪魔のテロリスト、ケンヂとその仲間たちによる人類滅亡計画を阻止した救世 主として崇められていた。行方不明になったケンヂに代わりユキジに育てられたカンナはそんな世の中に反発、問題児とみなされて洗脳のための施設“ともだち ランド”での研修を命じられてしまう。しかしカンナはそこで、徐々に“ともだち”の真相に近づいていくのだったが…。
(「第2章 最後の希望」)

 西暦2017年にあたる“ともだち暦3 年”。世界は“ともだち”に支配されていた。殺人ウィルスが蔓延し、東京は巨大な壁で分断されていた。やがて“ともだち”は来たる8月20日に人類が滅亡 すると宣言する。一方、秘密基地の仲間たちは“ともだち”の追っ手から逃れ、身を潜めながらそれぞれにレジスタンス活動を繰り広げる。そしてカンナは、ひ ときわ過激な“氷の女王一派”を組織し武装蜂起を計画していた。そんな中、行方が分からなくなっていたケンジがついに姿を現わし、いよいよ東京へ向け行動 を開始する。
(「最終章 ぼくらの旗」)

 	
監督: 堤幸彦		
原作: 浦沢直樹『20世紀少年』
脚本: 長崎尚史、浦沢直樹
撮影: 唐沢悟
照明: 木村明生	
美術: 相馬直樹		
音楽: 白井良明	
主題歌:T・レックス『20th Century Boy』	
 
出演

唐沢寿明   矢吹丈/ケンヂ(遠藤健児)
豊川悦司   オッ チョ(落合長治)
常盤貴子   ユキジ(瀬戸口ユキジ)
香川照之   ヨシツネ(皆本剛)
平愛梨    カンナ(遠藤カンナ)
藤木直人   蝶野
石塚英彦   マルオ
宮迫博之   ケロヨン
佐々木蔵之介 フクベエ
石橋蓮司   万丈目胤舟
中村嘉葎雄  神様
黒木瞳    キリコ

 いやあ、やっと完結しましたなぁ。
 制作発表時からいったいどんな映画になるのか話題になったこの作品、でも終わってみればいろんな意味で尻すぼみに終わったような。。最後の方は話題にならなかった気がするんですが。 
 かくいう僕も劇場は見に行ってません。でも、なぜかブルーレイ版を全部購入してるんですけどね。まあ、それぐらい原作が好きだったわけなんですが・・・

 映画版はねぇ・・・監督が堤幸彦って聞いた時点でううん・・・と思った(この人、ドラマは面白いのに映画になったらぱっとしない印象があるんですよね)んですが、3部作を見終わってみて、悪い予感が的中しましたなぁ。

 あの原作を3部作計7時間30分(ぐらい)に納めるのがまず難題だったわけなんですが、結局改変改変で出来の悪いダイジェスト版みたいな作品になっちゃってましたねぇ。
 それでも「血のおおみそか」までを扱った第一部はそれなりにまとまってて続編に期待を持たせてくれたんですが、2部・最終章は登場人物を削り、エピソードを張り合わせてとまったくもって感情移入しづらい展開。原作を読んでない人がみたとしたら、意味がよくわからんところがたくさんあるんじゃないですかねぇ。特に最終章でケンジが生きてるんじゃないかと匂わせる歌のエピソードなんかは、それまでの扱いがバックミュージック程度にしか印象に残ってないので、そうか!!と思わせてくれません。だから、役者が全部台詞で説明しちゃってます。
 この台詞で説明は全編に共通する問題点で、とにかく長大な原作に比べて上映時間の制約がある関係で隙間をとにかく言葉で埋めまくってる感じ。でもそれは重要だろうという複数のエピソードを無理矢理一つにまとめてるから、もうちぐはぐな展開だらけな感じですねぇ。登場人物も万丈目や敷島ミカといった重要なキャラがあっさりと消えてったりしてますからねぇ・・。

 この盛り上がりの低さが役者陣にも影響してるような。特にトヨエツなんかは後になればなるほど演技が冴えなくなってるような気がするのは僕だけでしょうか。ヒロイン役の平愛梨も意気込みはあるんですけど、本人の力不足もあってとても原作のカンナのような最後の希望っていう重さは感じさせなかったですねぇ。

 そんななんともしがたいこの作品でしたが、唯一よかったかなぁと思ったのがエンドクレジット後に始まる本当のエンディングでしょうか。この部分は原作でもそれまでのナンバリングから上下巻扱いだったとこですが、原作でともだちのほんとうの正体がわかる場面で、原作ではあまりに唐突すぎてえ???だったところ。映画ではそこにそれなりに理由付けが出来ていて、原作よりはそこの部分に納得がいったかなぁ。

 そう考えると、今回の脚本を書いたが原作の二人だというところに微妙に繋がってる気がします。途中の改変っぷりが原作者が脚本を書いたとは思えなかっただけに、原作で書ききれなかった部分を補完するためにこの仕事を引き受けたんじゃないのかなぁって思ってしまいました。
 深読みしすぎですかねぇ。。