『QED~鬼の城伝説~』(☆3.5)


まずはあらすじ。

岡山・吉備津神社に今も伝わる、占卜「鳴釜神事」。大和朝廷によって退治され、土中深く埋められた鬼神―温羅の首が、釜を唸らせて人の吉凶を告げるという。
一方、これとは逆に、総社市の外れ、鬼野辺家に先祖代々伝わる大きな釜には、鳴ると凶―主が死ぬという言い伝えがあった。
そして…、不吉の釜が鳴り、土蔵に長男・健爾の生首が!?
旅の途中、事件に遭遇した崇は、事件の核心"桃太郎伝説"の騙りを衝く。


前作で突然副題についた「ventus」。
今回はついておりません。なぜ???

近くて遠い県、岡山。
広島在住の私ですが、岡山とはそんなところ。
なにしろ倉敷市2回、岡山市に1回。あとは通り過ぎるだけというのが私の岡山体験。
いつか横溝ゆかりの場所を・・とも思っているのですが、今のところこれも未定。
それでも桃太郎は良く知ってるぞ。

でも実際に桃太郎ネタに関しては、これまでのシリーズのパターンを踏襲してるから意外というほどでもなかった気がする。
しかしかぐや姫といい桃太郎という日本昔話は恐ろしいのぅ。
本書的には桃太郎というより「温羅-鬼」に関する考察がほとんど(桃太郎にも結びつくのだけれども)。
温羅に関していえば、正直そんなによく知らなかったのだけれども、意外に面白かったな~。
実際この説というのはいろんな学説を参考にしてるのだろうけれども、それゆえにどこまで意外性のある答えかはわかりません。
実際に今手に取っている作品の冒頭に同じ結論のことが、簡潔きわまりなく書かれているし。
でもそれを面白く読ませるのは著者の手腕ということで。

今回は久しぶり(?)に事件の方も濃厚。
前作があまりに遊離して反省なのか、歴史的な部分ともかなりリンクしてきます。
ということは、やっぱり動機が実にらしいネタに仕上がってるんですけどね(笑)。
しかし、いきなり登場してさらっと事件を解決して、さらには天上天下唯我独尊ひたすら関係者を前に桃太郎を語るタタル。
ううむ、すごすぎですがな。

そしてこのあたりからはっきり奈々ちゃんがタタルに対して・・・ねぇという感じになってきたんですね。


おお、これでシリーズの書評、全部書いたぞ!!

採点  ☆3.5