『QED~竜馬暗殺~』(☆3.5)


まずはあらすじ。

人の住んでいる家は四軒しかない、高知の山奥にある蝶ヶ谷村。嵐による土砂崩れで、麓への一本道が塞がれる中、殺人と自殺の連鎖が十人の村人たちを襲う。村を訪れていた崇、奈々たちは否応なく事件に巻きこまれるが、その最中、龍馬暗殺の黒幕を決定づける手紙の存在を知り…。
博覧強記・崇の推理は、悲劇の輪廻と、龍馬殺害に纒わる最大の謎を時空へ解き放つ。


立て続けに「Q.E.D」シリーズです。
『ベイカー街~』と並んで、シリーズの中では非常に興味深いというか、わりと知ってる素材を題材にした作品。
漢(おとこ)なら、やっぱり坂本龍馬は一度は憧れる存在ですからね~。
一度は高知に行って見なければと思う今日この頃です。

ということで、歴史的テーマはサブタイトルにある通り「龍馬暗殺」。
幕末の英雄、坂本龍馬の死の謎というのは、本や映像でいろいろと取り上げられてますが、今だその真相は闇の中。
ただあまりに多く考察されているせいか、ほとんどの可能性がでつくしてるような気がしますね~。
実際にタタルが語る暗殺の真相に関しても、多くの本で語られてるものの一つ。
そういった意味では斬新さはないのかもしれませんが、そこまで辿り着くタタルの考証が重厚。
たまたま幕末暗殺史や龍馬暗殺関係の本を同時期読んでたのですが、同じ結論を扱ってるものにしても、こちらの作品の方が丁寧だと思ったのは気のせい?
もしそうだとすれば、フィクションより薄いノンフィクションって^^;;;
ま、そのへんを巧く見せるのが小説家としての技量というもんですかね。

そして現実の事件なんですけど・・・
ウウム・・・街が閉鎖されたとたん一気に死人がたくさんでるのは、いかにもミステリですが(笑)、その動機がすごいというか・・
いったいこの村はいつの時代の村なんですか?風習が素晴らしく危険だし、歴史との絡みも龍馬と違うところからふってきてるし。
あまりに強烈すぎて、叙述トリックを狙った(ような)部分も香りも吹っ飛んでますがな。
最後の死者がした行動も、あまりに唐突すぎてなんだかという気がしないでもありません。

でも面白かったけどね。
やっぱり自分が知ってるから、あるいは興味あるかが大きいシリーズなんですな。
あたりまえか。


採点  ☆3.5