『QED~ベイカー街の問題~』(☆3.3)



まずはあらすじ。

次々と惨殺されるシャーロキアン。「ホームズ譚」の解釈を巡る諍いが動機なのか?
ダイイング・メッセージを読み解き犯人像に迫る、桑原崇の推理は?
ホームズに隠された驚くべき秘密を発見した時、連続殺人犯が浮かび上がった!
文献を駆使し、大胆な発想でミステリの新たな地平を拓く、「QED」第三弾。

yahoo紹介より

シリーズ第3弾。今までの日本の歴史から海外へ。
しかもいろいろな意味で伝説の探偵、シャーロック・ホームズですから読者にとっても馴染みの深いネタ。
もちろん私も正典(笑)は全部押さえてますが・・・

すいません、全然シャーロキアンじゃありませんでした^^;;
いや、ちょこちょこ変な事柄や問題点があることはしってましたが、「最後の事件」と「空家事件」の矛盾点は気づきませんでした。
っていうかどっちかっていうとホームズよりルパン派だもんね(開き直り)。

しっかし、いいのかこれ。
ホームズ譚の粗筋を書くのはやむを得ないものの、やたら事件の真相ネタを割ってるし、しかも割られてるのが「まだらの紐」だったり「踊る人形」といった評価が高い作品だったりしますからね~^^;;
まあ、物語の内容が内容なだけにある程度しょ~がないとは思います。
この小説を手に取る人は、大体の人がホームズを読んでるような気がしますしね。
それにしてもなあ・・・・

さてさて、そういった問題点をおいといて、実際に本編はというと・・
面白いのは面白かったです。
これまでの2作と同様に、やっぱり多少の知識があるからというのもあるんでしょうが、タタルの薀蓄がすっと頭に入ってきます。
もちろん他の作品と比べて、資料たる正典がそんなに分量があるものではないというのもあるでしょうし、論点が非常に絞られてきてるというのもあるんでしょうが。
ただ、それに比して、タタルが導き出したホームズに隠された真実というものの意外性は、ちょっと薄いかなと。
作中で登場人物が触れているように、この説はこれまでも語られてきてるものの中のひとつですし、私もなんとなく聞いたことがありました。
むしろ犯人の行動のために一つの指針にすぎなかったような気がします。
つまるところ、現実の事件の方のウエイトが大きいという、ある意味異色な作品といえるのかも(笑)。

さくさく読めるし、面白いとは思うけれども、読み応えという意味では薄いですねぇ。
タタルさんのセクハラも無いし(笑)。
ホームズ好きな人には楽しめるかもしれませんね~。


採点  ☆3.3



https://book.blogmura.com/img/book80_15.gif