『嘘つきパズル 究極の名探偵★誕生』(☆4.0)



まずはあらすじ。

 
俺―間男は、エロいながらも不安な夢から目を覚ました。そこは人外のモノが跳梁跋扈する絶海の孤島。
天下の美人妻・麗華ちゃんと倦怠期解消の船旅に出たはずなのに、待っていたのは謎と怪奇とドタバタだった!?
連続殺人の真犯人とその目的は。島に隠された神の「のろい」とは。
熱いというより微妙に暑苦しい空の下に展開する、変本格ミステリー。 

yahoo紹介より

手に取った感想。
なんじゃこりゃ^^;;
べるさんの記事で、冴さんお手製の素晴らしい表紙に下にこいつが隠されてることは知っていたのですが、改めてみると・・・濃すぎです(笑)。
どこからとっても魔夜峰央の世界炸裂なイラスト。。。
特に気になるのが、どこからどうみても妖怪な緑色のばあさんと垂れた乳が眩しいばあさん。
緑色がホントに妖怪だったのにも腰抜かしたが、「垂れ乳のばあさん」ことエリザベスの妖怪を超越した人間っぷりの方がインパクト絶大^^;;ドアの隙間に消えていく○○(←伏字の意味なし)には抱腹絶倒(←ぜったい見たくはないが)。

つまるところ小説の世界観と表紙の絵が、読み終わってみるとこれ以外のコンビはねぇだろ!!ってぐらいはまってました。
猿顔の主人公の罵倒されっぷりのギャグセンスのビミョーさ加減(フルネームが間男というのがまた)、エリザベスの悶絶秘技、そしてオトコ!!なイラストがインパクト絶大なゼニ~ちゃん(笑)。どいつもこいつも濃すぎなやつらが繰り出す物語が・・・まっとうな本格。
これだけ変わったやつら、そして「のろい」という奇天烈な設定を絶妙に生かしたロジック。
まさに変態版『生きる屍の死』ともいうべきか・・・(大袈裟)

なにしろ「のろい」の内容が内容なだけに、ふつーに考えたらソッコーで事件が解決してしまいかねない。
そこを逆手にとっての展開とラストの真相が明らかになる場面はある意味圧巻。
読み返してみると、くだらないギャグの端々に伏線が張られてるんだもんな~。ある意味最強のミスリードか。(多分違うな)
特にラストの展開では、ひとつひとつの発言が練られてるし(前半でこの点に誰も触れなかったのはちょっとだけ不自然かなって思いましたが)、なにより副題の「究極の名探偵」という言葉に偽りなし。こんなやつがいたらどんな事件でも解決。なにしろ事件の犯人やトリックだけでなく、ふつ~は想像しかできないような動機までズバッと・・・ですからねぇ。

これだけのユニークな設定、脱力系のギャグの応酬、一度使ったら次は使えないという一発ネタ、それでいて本格のロジックの手順をきちんと踏んでる。
しかもラストには心温まる展開までまっていて。。。
これだけの要素が「のろい」という1点から派生しているというのは凄いと思いますよ、ほんとに。
表紙の絵から始まり、あとがきまで、トータルコンセプトの徹底ぶり。揺らぎのないバカ本格。
くろけんさんのセンスが余すところなく発揮されてるといっても過言ではない(?)。

いや、正直くろけんさんの作品の中では一番面白いと思ったんですが、どうでしょう^^


採点  ☆4.0