『QED~六歌仙の暗号~』(☆3.8)



まずはあらすじ。

「明邦大学・七福神の呪い」―大学関係者を怯えさせる連続怪死事件は、歴史の闇に隠されていた「呪い」を暴こうとする報いか!?
ご存じ、桑原崇が膨大な知識を駆使し、誰も辿り着けなかった「七福神」と「六歌仙」の謎を解き明かす。
そして浮かび上がった事件の真相とは?
前作「百人一首の呪」に続く驚異のミステリ。

yahoo紹介より

なぜか再読『Q.E.D』ツアー第2弾。
前作は細かいところもバッサリ忘れてましたが、これは犯人やトリックは覚えてました。

まずは現代のミステリ部分。
正直なところ使われてる密室トリックなんかは非常に古典的(というか初歩の初歩)だったりして、高レベルだったりする訳ですが、むしろそのあとのマンションでの殺人や、ホテルでの事件における、犯人はなぜそんな行動を採らなければならなかったという理由がふるってますな。
推理するための材料は露骨なまでにころがっているのだけど、そこから論理的に犯人の行動を説明できる人はなかなかいないと思いますな~。こう説明すると強引なのか?という感じもするかもしれませんが、そうでもないです。
むしろ「おお、なるほど~」と納得しきり。ここまですっきりさせてもらうと、骨格は弱くてもおいしい肉がついてて美味という感じですな。

それとは対照的なのが犯人の動機。
これはもうシリーズの特徴でもあり弱点でもあると思うのですが、この動機でここまでするか~~~~^^;;
いや、確かにあることをず~~~っと信じてきた犯人にとってはショックかもしれませんが、それにしても。。。
前作の被害者の行動もかなり異色だったけれでも、それでも縁起という部分で納得できたのですが、さすがにこれは凄すぎでしょう。
といいつつ、このシリーズはこんな動機が多すぎるのですが^^;;

さてさて本シリーズのメインともいうべき「歴史の謎」はどうだったかというと・・
ほうほう、美しいですね~、この謎解きは。
確かにいろいろな資料をタタルの好みで意図的に取捨してる部分もあるんですけれども、「七福神」と「六歌仙」の隠された因縁が明らかになるさまは、奈々ちゃんじゃなくても感心できると思いますね~。
最近のシリーズに比べると薀蓄のウエイトがそこまで大きくないという事があるのかもしれませんが、事件との絡みもそれなりにあるし、わりと馴染みのある部分ということで、非常に楽しめました。

あと、本編とはまったく関係ないところ。
タタルさんが本作品の中で、奈々ちゃんのことを「奈々」と呼び捨てにするところがあってドッキリ。
そしてこんな早い時期からセクハラは始まってたのね(笑)


それにしても、いつこのシリーズが苦手になってきたんだろうな~。
別の意味でワクワクしてきました(笑)



採点  ☆3.8



https://book.blogmura.com/img/book80_15.gif