『鴨川ホルモー』(☆3.9)  著者: 万城目学



まずはあらすじ。

このごろ都にはやるもの、勧誘、貧乏、一目ぼれ。葵祭の帰り道、ふと渡されたビラ一枚。腹を空かせた新入生、文句に誘われノコノコと、出向いた先で見たものは、世にも華麗な女(鼻)でした。
このごろ都にはやるもの、協定、合戦、片思い。祇園祭宵山に、待ち構えるは、いざ「ホルモー」。「ホルモン」ではない、是れ「ホルモー」。
戦いのときは訪れて、大路小路にときの声。恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。
京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱絵巻。都大路に鳴り響く、伝説誕生のファンファーレ。前代未聞の娯楽大作、碁盤の目をした夢芝居。「鴨川ホルモー」ここにあり!!
第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作。

yahoo紹介より

鹿男あをによし』のドラマが好評(わたしだけ?)な万城目さんのデビュー作。
あらためてみなさんの記事を拝読させていただいたが、おおみなさん高評価!!
ということで、私もそこに続きたいと思います。

といいつつ、正直ホルモーのなんたるかが明らかになる部分、「吉田代替わりの儀」あたりまでは少々きつかった。
そいうえば『鹿男~』も最初の方は少々だった気がする・・・。
いや、おもしろくないわけじゃあない。
主人公の安部くん。なんだかもりみさんの作品にも登場しそうなキャラだけれでも、あそこまでは壊れてない。
むしろ普通だからこそ、共感できる。なにやら自分自身と被りまくり。
もしかしたらそのへんでひいたのかもしれないが^^;;

だから「吉田代替わりの儀」でひいたわけではない。
いや、むしろお約束どおりのバカを楽しませていただいた。
このお約束どおりとのベタ展開のさじ加減がこの小説は効いているんだと思う。
それがなかったら、とくに後半の展開なんかはふうん~、へえ~、ってなことになってると思う。
さすがにちょんまげや凡ちゃん風味な女性はいなかったような気がするが、どこかにいてもおかしくないような人がほとんどだ。
にも関わらず、ホルモーの詳細がわかっていこう、一気に非現実的な世界に突入する。
普通ならここで違う物語の方向性になりそうだけれども、この小説はどこまでいっても青春小説だ。
非現実の中にも、きちんと懐かしさを織り交ぜて、十分楽しめる小説になっていると思う。
しかし、あれを披露したら見える彼のものって、いったいどういう趣味をしてるんだ^^;;

そしてまた、ホルモーなるものが楽しいのだ。
はちゃめちゃな設定と、とんでもないバトルの数々。
常人には見えないものを操り、雌雄を決す。
ある人はとにかく力で押し捲り、ある人は知略を練って立ち向かう。
すべての駆け引きを駆使しないと、この戦いには勝ち抜けないのだ。

そして勝者には栄光が、そして敗者には「ホルモ~~~~~~~~~~~ッ」が待っている。
「ホルモー」とはいったいなんなのか・・・恐ろしくてとてもいえない。
万が一にもその正体を喋ってしまったなら、災いが降りかかるであろう(笑)。
それ以上のことはぜひとも手にとって確認していただきたい。



採点  ☆3.9