2007年雑記録

今年のミステリ読書歴を振り返ると、忘れらない2人。


柳さんに関しては、多くのミステリーブロガーのお仲間と同じように今年になって初めて読んだのですが、一気にはまりましたね~。
デビュー作からほぼ発表順に読んだのですが、デビュー作から一貫して一癖もふた癖もある作品ばかり。
特にフィクションとノンフィクションを融合させる手腕はミステリ界随一だと思います。
これに対抗できるのは鯨さんの「タイムスリップ~」シリーズしか思いつかないですのう(え、間違ってる???)
その中でも『贋作『坊ちゃん』殺人事件』の空前絶後の試み、そして強烈なメッセージ性が印象深い『トーキョー・プリズン』がベストではないでしょうか。
ただ、大好評の『百万のマルコ』、新作の『漱石先生~』を読んでないのが心苦しい^^;;;

そして今年の新人としては最大の問題児、古野まほろ
これぞメフィスト賞なデビュー作『天帝のはしたなき果実』は、多くのお仲間が手に取っただけで本棚に返したといういわく付。
とりあえず読んでいただき、犠牲をわかちあって頂いたゆきあやさんに感謝、感謝。
そんな衝撃(笑劇?)も醒めやらぬ間に、まさかの年三作発売。
しかも出すごとに完成度が高まっているのにはびっくりでした。
3作目の『天帝の愛でたまう孤島』は、まさかのマイベスト10入り。
ミステリとしての完成度はどうなんだ?という気がするんだけれでも、これだけ書ければ上出来と思うのは私だけ?
しかし、この3作目にしてもゆきあやさん以外はまったく読まれる気配がないのが気になるところ。。。(当たり前か?)

このほかにも、実に15年振りのシリーズ新作となった有栖川有栖『女王国の城』、島田荘司復活の気配を感じさせる『リベルタスの寓話』、強烈な印象を残した西澤保彦の『収穫祭』など、ベテラン勢の活躍も印象に残った気がする。
ベテラン勢といえば、法月綸太郎の評論集『名探偵はなぜ時代から逃れられないのか~国内編』綾辻行人の雑文集『アヤツジニクル』島田荘司『島田荘司のミステリー教室』二階堂黎人『僕らが愛した手塚治虫』など、小説以外の本も数多く印象に残った。

他にも、ミステリ界の新たな金字塔というべき三津田信三 『首無の如き祟るもの』との発表や、一部でカルト的な評判を読んでいた中西智明『消失』の復刊は、個人的に素晴らしいニュースだったと思う。
また、北村さんの落選が衝撃的だった第137回直木賞受賞作のハイレベルな争い。どれもこれも甲乙捨てがたく、次回以降もこのレベルを保っていくなら、この老舗の文学賞もまだまだ捨てたもんじゃないと思いました。

来年をにらむと、やはり三津田さんの刀城シリーズの最新作、そして笠井さんの矢吹シリーズ日本編の発売がいまから楽しみなところだと思います。

さてさて、今年はいままで未読だった作家さんとの出会いも多かったですね~。
前述の柳・古野両氏だけではなく、冴さん、べるさんから進められた東川篤哉や、桜庭一樹さん、佐藤多佳子さん、直木賞でであった松井今朝子畠中恵森見登美彦万城目学・三田完などなど。
1冊しか読んでない作家さんでは、やはり年間ランキングで1位にさせていただいた吉田修一『悪人』が一番心に残っています。
どの作者さんも活躍されていたにも関わらず、私の不明で未読の方々が多く、そういった意味では改めてブログをはじめて本当によかったと思える1年だったと思います。
来年も未知の作家さん、作品に数多く触れていきたいですね。

では最後に、今年印象に残った「はふぅ」(©古野まほろ)な作品を挙げておきます。


この5作はいろいろな意味で印象に残りました。
どれも1癖2癖どころか、3癖4癖じゃすまない作品ばかりですからね~。読んだことのある方ならば伝わるはず。


ということでこの記事が今年の最後の記事になります。
来年最初の記事は、年始の挨拶、もしくは保科昌彦『生還者』は読書録になるかと思います。

それでは、来年もみなさまによって良い年でありますよう、そしてたくさんの素晴らしい本にである事を祈りつつ、筆をおきたいと思います。

今年もお世話になりました~♪♪