『2007年度 ミステリベスト10』

は~い、続いては2007年マイベスト(ミステリ編)です。



10位  『女王国の城』 著者:有栖川有栖

なんだかんだといいながら、やっぱりミステリを愛する人間としてはやっぱりベスト10入りしてきました。
15年振りの出会い、残念ながら時の流れの残酷さは否定し得ないものの、本格への愛情では追随を許さないのではないかというぐらいコテコテ。
正直もっと短ければ、もう少し上位にランクインできたかもとは思いますが。
とにかく次の作品は早く出してね♪


9位  『吉原手引草』 著者:松井今朝子

ラインナップが充実した第137回直木賞を見事に勝ち取ったこの作品。
個人的に直木賞を選ぶなら、北村さんなのだが、この作品もまた受賞に値する作品だったと思います。
吉原という狭い世界を舞台にしながらのインタビュー構成。しかしながらちゃんと登場人物の描き分けが出来ている。
ミステリとしては弱いところもあるけれど、総合的にみれば上質の作品。
やや読者を選ぶ気もするけれども、読んで損はないと思うこの作品でした。


8位  『まんまこと』 著者:畠中恵

第8位も第137回直木賞候補作品のこの作品。
大人気の『しゃばけ』シリーズを読んでない私がいうのもあれだが、思い入れタップリの北村さんを除くならこの作品を直木賞に選んだ気がする。
連作短編集としてどの作品も素敵だし、登場人物も魅力的。
その中で私の決め手は最終話「静心なく」の、なんとも切ない余韻の味わい深さ。
ベタといえばベタな締めくくりなのだが、それを奇跡的なまでに昇華させた著者の筆力に感服。
ああ、「しゃばけ」も読まなければ。。。


7位  『天帝の愛でたまう孤島』 著者:古野まほろ

わはは、今年のランキング最大のサプライズがここでしょう。
まさか、あの「はしたなき」作品のシリーズ三作目が入ってくるとは、はふぅ。
正直このランキングを提示しても、読者数が伸びるとも思えないし、非常に読者を選ぶという意味でオススメできない(笑)。
ただ作品ごとに着実にレベルアップしているし、シリーズ物の完結編(?)としては異色な締めくくりのインパクト。
ここまでどこかでみたことあるようなベタな展開を、独特の世界にしてしまうのはタダモノデハナイ?
いろんな意味でうげらぼぁな作品。とりあえず、買ってしまったというゆきあやさんの記事が待たれますなあ(笑)。


6位  『収穫祭』 著者:西澤保彦

ある意味今年度最高級の衝撃を放った作品。
スプラッタあり、本格あり、恋愛あり、エロくないエロシーンありとい盛りだくさんな1冊。
とにかくどこを切り取っても著者の執念を感じるわけですが、なにより笑劇の第4部が素敵すぎます。
間違いなく著者の代表作、でもこれが代表作でいいのかと心配しないでもない。
とにかく問題作間違い無しなのだ。


5位  『化物語』 著者:西尾維新

いよいよベスト5。
個人的お気に入りの西尾さん。講談社BOXから発売のこの作品、維新ワールドの最高傑作といっても過言ではない
なにしろ著者自身、「100%趣味で書いた」というだけあって、時には本編の展開を無視して登場人物達が大暴走。
特に最強のエロ女子高生神原は、今年の私的マイフェイバリットキャラクターでございます。
とにかく圧倒的に無駄が多いくせにサクサク楽しめるこのシリーズ。
来年発売予定の続編にも期待大です♪


4位  『贋作『坊ちゃん』殺人事件』 著者:柳広司

今年は私にとっては、柳さんに出会えた1年といっても過言ではあります。
ほとんどの作品が高レベル。正直1冊を選ぶらなら・・・で凄く迷ってしまいましたが、結果この1冊を。
タイトル通り、漱石の名作「坊ちゃん」に後日談をつけたお話。
本編をそのまま活かしつつミステリにしてしまった、著者の豪腕ぶりにただただ唖然。
この実力はもっと評価されていいはずなのだ!!


3位  『玻璃の天』 著者:北村薫

第137回直木賞で本命と言われながら、またしても受賞を逃してしまった北村さん。
北村ミステリーというよりも、北村文学の現時点での最高峰と言っていい作品でしょう。
とにかくほとんど文句のつけようがない文章にただただ陶酔。
ここまで書ける作家は純文学リーグも含めて10人もいないのではと思いますよ、ほんと。
これでシリーズ2作目、ただただ3作目がまたれますなあ^^


2位  『首無の如き祟るもの』 著者:三津田信三

本格ミステリ界において今年最大の収穫・・・というより、21世紀以降のミステリの中でも最高峰に位置するのではないかと思った作品。
これは書評ブロガーの皆さんこぞって大絶賛で、年末のランキング本で1位にならなかったのが不思議だ。
とにかくもう、語るべきことはなにもない。それほどに素晴らしい作品だ。
本格ミステリ愛する人ならば、必読の1冊。


1位  『悪人』 著者:吉田修一

本年の1位は間違いなく『首無~』だと思っていた。
それがまさか、今年最後に読んだ本が鮮やかに抜き去ってしまうとは^^;;
正直なところ、この2作品はどちらも方向性が違うので、甲乙つけがたい。
『首無~』が徹底的に古典への回帰のような濃厚さなら、こちらはチープさにリアルを匂わせる現代の作品。
もしかしたら高く評価しすぎなのかもしれないが、今年一番心を打たれ考えさせられたのはこの作品だった。
今のところ、この作品の書評はあまり見かけないので、ぜひお仲間の皆様の評価をお聞きしたい。


さてさて、今年はこんなランキングになりました。
意外でしたか?それとも予想通りでしたか?
今年に関しては上位2作品は甲乙つけがたかったな~。なにしろどちらも☆5つなのだから。
特に2位の『首無~』は、古典が評価されがちな本格ミステリ界において、新たなる古典となりうる作品でしょうね。
1位の『悪人』と合わせて、未読の方はぜひお読みくださいませ。

最後に反省。
年末に駆け足でランキングをつけるのは大変。
ということで来年は本を読むたびにランキングをつけていくぞ~。