『QED~flumen~九段坂の春』(☆3.9)


まずはあらすじ。

千鳥ヶ淵の桜の下、花弁を握り締めて男が死んだ―。
中学生の桑原崇は、聡明な女教師・五十嵐弥生に思いを寄せるが、ほろ苦い思い出を残して彼女は消え、崇の胸には一つの疑問が残った。
それぞれの青春を過ごしていた、棚旗奈々や御名形史紋の周囲でも起こる怪事件。
すべての糸が、一本に美しくつながるQED初の連作短編集。

amazonより

ご無沙汰しております。
前回更新から焼く1ヶ月近く記事放置、みなさんのブログは拝見しているのですが、コメントを書き込む事もなく、失礼おばしております^^;;
11月末には校内模試、現在は後期の試験の真っ最中、そして来月は国家試験、バタバタです^^;;
ホントは先月読み終わった直木賞の振り返り記事も書きたかったんですけどね~^^;;

前置きはそれぐらいにして、12月最初の記事は高田さんの「QED」シリーズです。
前作『河童伝説』では☆1.5をつけ、べるさんと全く反対の感想だったわけですが、今回はわりと近い感想ではなかったでしょうか。

シリーズ初の連作短編集、はてはて「千波くん」の方を読んでない私としては高田さんの短編はどうなんだろと思ってたのですが、いや結構面白かったと思います。
正直ミステリ部分の完成度に関しては、もはや作者もどうでもいいと思ってるのではないか?と疑わしくなる出来だと思うのだけれども、それは今始まった事ではないでしょう。
むしろシリーズの常連達の青春時代を素直に楽しむのが正解だと思いますな。
連作短編集の仕掛けとしても、1冊通してのミステリの意外性はさほどでもなかったのですが(丁寧に考えられてはいると思います)、むしろ表題作でタタルと奈々ちゃんとニアミスしてたり、そんな奈々ちゃんの○○シーンが描かれてたり、ファンにとっては縁を感じさせる・・・
え?○○シーンに縁は関係無いって?
そんな野暮な事はいいなさるな。だってタタルさん萌え(?)の奈々ちゃんにもこんな過去が・・・というのがホクホクなんですよ(意味不明)。

個々の作品としては、どれが良かったかと言われると微妙なのですが、「秋」かな~と思ったり。
小松崎の切ない(?)青春となんともいえないラスト(ファンサービス付?)は割りと好みだt
春で描かれた衝撃的(?)なタタルの初恋に関していえば、ホウホウ彼にもこんな過去が・・・と思いつつ、こんな薀蓄を話す中学生はキツイかも・・・と思ったり。
そして五十嵐先生の思わせぶりな行動・・・思春期の少年にはまずいでしょ(笑)。
夏に関しては、やっぱり奈々ちゃんの○○シーンにつきると思うし、冬の御名形史紋は・・・ノーコメントで(笑)。

さてさてQEDのメインといえば、歴史の薀蓄の数々。
これらがツボにはまるかそうでないかで非常に評価が分かれてしまうトコロ大なのですが、連作短編集ということでその部分はやや薄味だったのではないですかね~。
「春」における「袖」の解釈についての五十嵐先生の説はどこかで読んだ記憶があったので、意外性よりもそれを生徒に話してしまうところの方が印象に残りました。
「夏」に関しては、いくら自由研究のテーマで取り上げたからといって護良親王についてわりとマジに怖がる女子高生が果たしているのか、という余計なツッコミを・・
「秋」「冬」に関しては正直良く覚えていません(気になるかたはべるさんに聞いてくださいな~、私はこのシリーズ図書館派なので^^;;)

おっとなんだか批判的になってきましたか?
いえいえ、そんな事はありません。どちらかたというと最近の作品ではこの薀蓄に食傷気味だったので、これぐらいが自分には適度なのかもと思いましたな~。
とりあえず個人的には『式の密室』以来楽しめた作品だったと思います。

国家試験が終わったら、一度シリーズを読み返してみるかな~~~。


採点  3.9